ボランティアレポート「障害のある子どもたちの幸せ」
2025.06.16
名 前:木村直
隊 次:2024年度1次隊
職 種:障害児・者支援
配属先:リロングウェ教員養成大学附属小学校
出身地:愛知県
私は首都にある公立小学校の中にある支援学級で、同僚と一緒に障害のある子どもたちへ向けて基礎となる教科授業やアクティビティやゲームなどの活動をしています。
活動をするなかで「障害のある子どもたちの幸せとは何だろう」ということを考えさせられる出来事が何度かありました。今回は特に印象的だった出来事についてお話しするとともに、ぜひみなさんも一緒に考えていただけたら幸いです。
最初に支援学級のことを簡単に紹介します。在籍児童数はなんと83名…!!!初めて聞いたときはひっくり返るかと思いました。ですが毎日80名以上が来るとなると、狭い教室には入りきらないので月曜日と水曜日はチームA、火曜日と木曜日はチームB、金曜日は家庭訪問の日というスケジュールで進めていました。また障害種もさまざまで身体障害、知的障害、視覚障害、聴覚障害などがある児童たちが在籍しています。登下校や授業中も保護者が一緒に学校に来てくれています。
毎日大人数での一斉授業は楽しいものの、もっと子どもたちの障害の特性や困難や課題にフォーカスした授業や活動がしたいと思い、同僚や保護者に「教室も狭いし、障害種別にクラスを分けて子どもたちのできることを授業でやってみない?」と提案しました。同僚からは「たしかに障害種によってできることや必要となるスキルも違うからいいアイデアだね」と言ってもらうことができ、「やったぞ、次は保護者に説明するだけだ。活動がより子どもたちに合ったものになるぞ~」と意気込んでいた最中、まさかの保護者からの「NO」。「なんで?この提案は子どもたちにとって良いものではなかったのか?」と考えを巡らせました。気持ちが落ち着いてから「NO」の理由を聞き出してみると「私の子は話せないし、鉛筆を握って文字もかけない、歌も歌えないし立つこともできない。けど、友達と同じこの教室にいる。楽しさや喜びを共有している。ただそれだけだけど、それが私たちにとって幸せなんだ」と言いました。「みんなで一緒の時間を過ごすこと」を「幸せ」と捉えているのだな。と気づきました。けれど正直、これを聞いても直ぐには納得できない自分もいました。じゃあ、子どもたちができるようになるかもしれない「伸びしろ」を保護者はあきらめているのか?そんな風にも思えたからです。もちろん日本のように障害種別に分けて指導・支援するのが絶対に正しいと思っていたわけではありません。私にとっての良いことを押し付けてしまったのかなとの反省も感じました。
これが「障害のある子どもたち幸せ」とは何だろうと考えることができた出来事です。
結局、その後も障害種別にクラスを分けることなく一斉授業をしています。もどかしい気もちもありつつ、少しでも子どもたちが楽しんで自分の力だけでできることはないかと考え、少しの時間ですが、教材を作って使ったりマットレスを敷いてストレッチやマッサージをしたりしているところです。
任期も半分が過ぎました。活動内容に対しての正解や不正解はありませんが、子どもたちや保護者、同僚みんなが笑顔になるそんな時間を少しでも増やせていけたらいいなと思っています。マラウイでの生活を振り返ったとき「できた」ことは少なくても「やれた」ことが少しでも多くなるように過ごしていきたいです。
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