ボランティアレポート「マラウィアンと酒と飯を食う」
2025.10.30
2025.10.30
名 前:水野裕文
隊 次:2023-3
職 種:薬剤師
配属先:ブランタイヤ県ジングワングワヘルスセンター
出身地:愛知県名古屋市
 
 
こんにちは、マラウイで協力隊として活動している水野裕文です。今日は活動内容のことは書かずにただただ家の前のマーケットでビールと飯を食べる話を書きたいと思います。
自分の任地はブランタイヤというマラウイの中でも比較的大きい街です、人が多いんですよね。
 
仕事が終わる夕方になるとマーケットは自然発生的なビアガーデンになります。道の端にプラスチックの椅子が並び、炭火の煙が立ち込め、スピーカーからはマラウイポップが流れる。この熱気が、停電断水で何もできない家の中よりよほど魅力的です。
お目当てはいつもの最高の組み合わせ。 一つ目は牛の内臓肉、つまり牛ホルモンの塩ゆでです。これが本当に美味い。下処理されているので臭みはほとんどなく、塩でシンプルに味付けされ茹でられています。これを一口、そしてキンキンに冷えたビールを流し込む。至福の瞬間です。コリコリとした食感とジュワッと広がる脂の旨みが、一日の疲れを忘れさせてくれます。
もう一つが、どこに行っても裏切らない「チップス」、つまりフライドポテトです。マラウイのチップスは、じゃがいもを大ぶりにカットして揚げたもので、ボリューム満点。ビールのお供として最高なのはもちろん、素朴で優しい味が疲れた胃に沁みます。牛ホルモンとチップスとビール。これさえあれば、世界で一番幸せな男になれます。
そして、この酒場での醍醐味は、何と言ってもマラウィアンとの交流です。彼らは本当に気のいい人が多く、とにかくフレンドリー。「ヘイ!ユー、アズング(外国人)!」とすぐに話しかけられます。初対面でも、まるで昔からの友人のように、家族の話、マラウイの政治の話など、深く長い会話が始まるのです。彼らは日本人に対しても親近感を持って接してくれ、その屈託のない笑顔と飾らない人柄にはいつも心温まります。
こうした交流では、よく「ビア・シェアリング」が発生します。こちらがお酒を奢ってあげたり、逆に彼らがお返しにと、ビールや食べ物を「カリブ(どうぞ)」と奢ってくれることも多々あります。お互いに財布事情は厳しいけれど、この場にいる皆で喜びを分かち合いたい、という温かい心が根付いているからです。奢ることも奢られることも、ここでは信頼と友情の証。一本のビールをきっかけに、国境を越えた強い絆が生まれます。
この国での活動は決して楽なことばかりではありませんが、こうしてマーケットで人々との温かい交流の中に身を置くたび、「ああ、マラウイに来てよかったな」と心から思います。この牛ホルモンとチップスと、気のいい友人たちとの笑い声が、明日も頑張るための、私にとっての最も強力なエネルギー源なのです。
 
 
           
        
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