ボランティアレポート「自称プレイセラピーで子供達に笑顔を(*^^*)」
2025.11.04
名 前:河本 万里子
隊 次:2023-3次隊
職 種:公衆衛生
配属先:Salima District Hospital
出身地:福岡県
2023-3次隊としてマラウイに来て信じられないことに1年9ヶ月が経ちました!任期も残り3ヶ月、日本が恋しいという気持ちと活動でこれやりたい、あれやりたい!と楽しみでありつつも、焦りも生まれてきて複雑な今日この頃です。
そして今は10月下旬、いよいよサリマが本気を出してきて逃げ場のない暑さと格闘する日々です。先日はついにマダム達が暑いからとチテンジを脱ぎ捨ててマーケットに出かけていました。彼女達はどんなに暑くても常に洋服に重ねてチテンジを腰に巻いていたので、よっぽどなのだなと暑い任地であることを再認識しました。
さて!そんな中最近、力を入れている活動の1つ:(自称)プレイセラピーについてご紹介できればと思います!Salima District HospitalではHIVに母子感染し治療を受ける子供達のための子どもクリニックを3ヶ月に1回、診察・薬の受け取りタイミングに合わせ、土曜日に開いています。平日は学校があり病院に来ることが難しいためです。これは思春期のHIV陽性の若者達が医療サービスを受けやすくし、社会的な孤立感を軽減するための支援を目的として、下記を主な活動内容に掲げています。
・医療サービス:ART(抗レトロウイルス療法)の処方、臨床評価、ウイルス負荷検査など。
・心理社会的支援:ピアサポート、思春期の健康教育、自己肯定感の向上を図る活動。
・性と生殖に関する健康教育:若者向けの性教育や家族計画に関する情報提供。
・交流の場:同じ状況の仲間との交流を通じて、孤立感の軽減と社会的つながりの構築。
子供達は子どもクリニックを受診するにあたり、基本的には親を同伴せず、子供達だけで医師からの説明や検査、薬の処方を受けます。理由は子供達自身が自分の病状を理解し、責任を持って治療を続けていくことが必要だからです。子供達の受診中、親は病棟の外で待ちながら病院スタッフの教育を受けています。ほとんどが10代前半の子供達に対し、厳しい対応のようにも思えましたが、子供のうちからHIVに感染していることの重大性、薬と生涯つき合っていかなければならない大変さを理解し、周囲がサポートしていくために必要なことであることも学びました。
この子どもクリニックについて、私自身は公衆衛生部門の1つとしてARTクリニックで業務を学んでいる際に土曜日にも子供達のための取り組みがあるよと教えてもらい、参加したことが最初のきっかけでした。個人的に一番感銘を受けたのは、子どもクリニックの重要な役割が、同じ境遇に置かれた仲間同士が絆を深め、互いに助け合えるような環境を整えることであり、何よりも伝えたいことは「あなた達は独りではない」ということでした。
そんな場に参加させてもらえたのなら私に何かできることはない?!HIVに関する教育や薬の説明は専門的で複雑、素人が簡単に手を出すべきじゃないし、ならば病院にいる時間が少しでも楽しく交流を深めることができる場になるように、子供達が希望を持って治療に励めるようにせっかくの外国人スタッフとしての強みを活かせることをしよう!と同僚と考え、日本文化からヒントを得たアクティビティをしてみようとなりました。
挑戦① TANABATAで将来の夢を描く!
一番初めに思いついたのは七夕アクティビティでした。将来の夢を思い描くことで病気を治して成長することに楽しみを持ってくれるのでは?!願い事を描くカードとしてカラー用紙をサリマのショップでお安く購入し、木にくくりつけるための紐は服を仕立てるテーラー屋さんで不要になったチテンジの切れ端を譲ってもらい細く切って紐にしました。通常、くくりつけるのは竹ですが、サリマの病院やヘルスケアセンターには綺麗な緑の木々がたくさん生えているのでこれで十分でした。
事前にアクティビティの説明をした際は同僚スタッフ全員が七夕というものを初めて聞いたのでイメージするのが難しそうでしたが、やってみようと言ってくれたことには感謝しかありません。さらに将来の夢を描く七夕に繋げて、「夢を叶えるためには皆は大人にならなければいけない。そのためには病院に来て、薬を正しく飲んで病気に打ち勝とう!」と子供達に伝えよう、そしてHIVという病気のこと、正しい薬の飲み方を病院スタッフが教えるのが良いのじゃないかな、と提案してくれました。
当日、もちろん子供達も初耳の七夕にポカンとしていましたが、同僚スタッフが一緒に盛り上げながらチェワ語で通訳もしてくれたので無事にスタート!カードの表には将来の夢、裏にはその理由を描いてもらいました。そして色鉛筆で描くのが嬉しいのか、夢中になってイラストを描いたりと思い思いの時間を過ごしてくれました。皆の前で夢を発表しながらお互いに声援や拍手を送り合いました!最後に外に出て願いが叶いますようにと木にくくりつけました。
「I want to be a nurse!」「I want to be a soldier!」
自身も病気なので同じような人々を助けたいと医者や看護師になりたい子が多く、尊いなあ~と感動していました。またソルジャーも人気でマラウイらしいのか?兵隊基地が近いサリマらしいのか?予想してみるのも興味深かったです!
七夕カードと木が揺られる姿を見て、大人達も「美しい文化だね」と夢中に!日本ではもう見慣れてしまった七夕がこんな形でアフリカの人々に喜んでもらえることが新鮮で嬉しくなりました。
挑戦② ハンドプリントアートでマラウイの国旗を描く!
TANABATAに続く第2弾として子供達に楽しんでもらいたかったのが、手に絵の具を付けて手形を紙に押し、マラウイの国旗を描いてみようというものです。子供達同士で協力して1つのものを作り上げていく経験を楽しんでしてもらえればということで、今回はExpressive Artsを担当するJOCVに協力を頂きコラボ企画しました!
早速手に絵の具を付けて紙に押し当てていきます。
Expressive Artsの授業で経験があるかな?と思いつつ、どうやら子供達にはこちらも初めての経験のよう。大きな声で騒いだりはしないものの、言葉にできない興奮が伝わってきて、やりたい!やりたい!と前のめりになっている姿が可愛らしかったです。
意外と難しいハンドプリントアート、JOCVや同僚スタッフの協力のおかげでマラウイ国旗を描くことができました!子供達が嬉しそうに眺めてくれ、最後は自ら壁に展示もしてくれました。
病院に来ることは辛いことばかりじゃないよ!同僚スタッフや協力してくれたJOCVはじめ、私達の思いが少しでも伝わるように、何より子供達が希望を持って治療に励めるようにこれからも応援していきたいと思います!
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