ボランティアレポート「「マラウイの子どもたちと描く未来 ― 表現活動を通じて見えた輝き」
2025.12.24
2025.12.24
名 前:時田絢子
隊 次:2023-4
職 種:小学校教育
配属先:バラカ教師研修センター
帰国まで半年をきり、マラウイでの日々が、ゆっくりと「総仕上げ」の時間に近づいています。
この国で学べること、私から届けられることはあといくつあるか。そんな思いから、この3か月は、赴任前に抱いていた「マラウイの子どもたちの表現を引き出し、その輝きを日本へ届けたい」という想いに立ち返り、創作活動に全力で向き合いました。
【バラカ小学校3年生:絵画“こんなあそびをしたい!”】
東京町田ロータリークラブ主催の幼児画展(12月12日(金)~12月14日(月))にマラウイから出展することになり、3年生と一緒に作品作りに取り組みました。
真っ白な紙、クレヨン、絵の具といった画材は普段なかなか手に入らないマラウイ。それらを手にした緊張感が表れるように、小さなモチーフを描いたり教科書の絵を写したりする児童が多く見られました。
そこで、私はいったん鉛筆を置いて、想像を広げる助けを入れることにしました。実際に休み時間に色々な遊びをしたのです。マラウイでも、子どもはいろいろな遊びをします。国民的スポーツであるサッカーとネットボールに加え、砂あそび、パダ(けんけんぱに似ている)、フィッシュフィッシュ(大縄跳びに似ている)、木登りなどが人気です。
実際に遊んだうえで「どんな遊びが好き?」「誰と遊ぶのが好き?」とアイデアを集めるうちに、だんだん児童の表情が変わってきました。「あっ!これも描き足そう!」とひらめく表情。「まっすぐな線を描こう。」と集中する表情。そして何よりも変化したのは、「絵に“物語”が見えるようになったこと」です。下に掲載している第1回目の絵は、モチーフがぽつぽつと独立して描かれているような印象を受けます。しかし最終作品では、人物の関係性や会話、背景が見て取れ、紙全体を使用して一つのシーンが描かれている印象を受けます。
①第1回目の活動
②マラウイの遊び
③作品に向き合う児童
④最終作品
今学期、多くの創作活動に取り組み、その教育的価値を確かに感じることができました。頭の中のイメージを説明する力、構成を見通す力、他者のやり方を観察する力、道具を貸し借りするときのお願いの仕方など、創作活動は多くの力を必要とします。現地教員や私自身が「アートはこうした認知能力や言語能力の向上に貢献するのではないか」という気づきを得たところにもこの活動の意義があったと思います。
次学期はいよいよマラウイで教壇に立つ最後の3か月となりますが、児童主体の活動の意義と方法が先生達に広く伝わるよう、心を込めて表現活動を行っていきます。
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