jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

グループセラピー(ピアサポートを目的とした語りの場)

2026.07.27

名前:西山亜由美
隊次:2024年度2次隊
職種:作業療法士
配属先:カムズ中央病院

今日は私が月に一回開催している、脳卒中サバイバーのためのグループセラピーについて紹介します。
私は現在、マラウイの第三医療機関で作業療法士として活動しており、主に脳卒中を呈した患者さんのリハビリテーションを担当しています。
ちょうど一年前、同じチームの理学療法士から「グループセラピーをやりたい」と提案がありました。彼は身体面だけでなく、脳卒中患者さんの心理的なサポートも行いたいと考えていたそうです。私もとても素晴らしいアイデアだと思い、一緒にグループセラピーをスタートさせました。
英語圏では、脳卒中を経験された方を「サバイバー」と表現することがあります。ある日突然やってくる脳卒中という大きな病気……。命を取り留めても、半身が動かなくなるなどの後遺症が残ることが多く、その大きな変化を受け入れるのは本当に難しいことです。マラウイでは社会福祉サービスが限られているため、家族が介護を一手に引き受けます。マラウイの人々はとても優しく丁寧に家族を介護しますが、やはり「患者本人ならではの苦しみや葛藤」は、同じ経験をした人にしか分からない部分があると感じています。

そこで私たちが作ったのが、同じ病気を乗り越えてきた患者さん同士が集まり、普段の生活の苦労やうまくいっている工夫を自由に共有できる「語りの場」です。

グループセラピーでは、患者さんとそのご家族がみんなで輪になって、脳卒中後の自分の思いや暮らしについて話します。リハビリの専門職である理学療法士や作業療法士も同席しているため、医療的な質問があればその場でお答えできるようにしています。
また、私は外来作業療法を担当しているため、その時期の患者さんの状態に合わせてグループを工夫して構成しています。例えば「記憶に課題がある方のグループ」「自宅で役割がなく閉じこもりがちになってしまっている男性陣のグループ」「長期HIV感染の既往がある方のグループ」など、似た悩みを抱える方々が集まれるように工夫しています。
2025年6月に第1回を開催してから1年間で、計15回のグループセラピーを実施し、延べ45名の患者さんにご参加いただきました。
参加した皆さんからは、病気や障害に対する受け止め方が変わったり、生活習慣が良くなったりする変化が見られています。 「片手が動かないからもう何もできないと思っていたけれど、片手でもできる活動があると気づけた」 「歩行練習のあとに毎日炭酸飲料を飲んでいたけれど、健康に良くないと知ってやめられた」 など、お互いの交流を通してたくさんの新しい気づきが生まれています。
例えば、60代女性の患者さんは、参加後に「肩が痛いのは自分だけだと思っていたけれど、同じ悩みを抱えている仲間がいると知って安心した」とお話ししてくれました。同じ経験を持つ誰かと気持ちを分かち合うことが、大きな心の支えになっていることを実感した瞬間でした。
先行研究でも、脳卒中患者さん同士の支え合い(ピアサポート)は心のケアや社会参加に効果的であり、自分の健康を自分で管理する支援が生活の質(QOL)を高めると言われています。
今回の取り組みを通して、患者さん同士が悩みや経験を共有し、前向きに生きていくための視点を得るきっかけになっていれば幸いです。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ