世界環境デーに合わせたイベントをJICA海外協力隊の提案によりサバ州森林開発公社(SAFODA)にて開催
2025.06.19
2025年6月10日、世界環境デー(6月5日)に合わせて、サバ州森林開発公社(SAFODA)とJICAの共催による「SAFODA-JICA Friendshipイベント」を開催しました。本イベントは、JICA海外協力隊(JOCV)60周年を祝うと同時に両機関の友好を深め、地域における環境意識の向上を目的として実施されました。クアラルンプールにて活動している齋藤周作隊員(青少年活動)と、サラワク州クチンにて活動している相坂智紗子隊員(作業療法士)にも協力していただきました。
オープニングセレモニーでは、JICAとSAFODAの長年にわたる協力関係とJOCV60周年を祝し、SAFODAよりJICAへ記念品が贈呈されました。また、これまで両機関が協力して取り組んできた活動や、SAFODAに派遣されたJOCVの貢献に対する敬意と感謝を込めた映像が上映されました。さらに、日本とマレーシアの文化交流の一環として、JOCVとマレーシアサバ大学の学生が合同で、日本の伝統舞踊「ソーラン節」を披露しました。力強い掛け声とダイナミックな踊りに、参加者は圧倒され見入っていました。
本イベントを機に、老朽化していた施設内看板のリニューアルも行われ、SAFODAエコフォレスト内の198ヘクタールが「SAFODA–JICA 友好の森」として正式に命名され、新しい看板の除幕式が執り行われました。
イベントでは、JICA広報ブースを設置しました。ブースでは、マレーシア人の名前を漢字で表し、その漢字の意味を説明しました。例えば、スタッフのジェニファーさんは「慈縁風愛」という漢字を当て、1文字1文字の漢字の説明を聞いてとても嬉しそうにしていました。ブースには浴衣や法被、柔道着を用意し、来場者が自由に試着できるコーナーを設けました。和の衣装に触れながら記念撮影を楽しむ様子が見られ、日本文化への関心を高める良い機会となりました。
また、今年1月までJOCVが活動していたKK Wetlandは「JICA、JOCVにはいつも助けられているから」と、ブースの出展に協力していただき、一緒にイベントを盛り上げてくださいました。
参加した隊員でそれぞれの専門や特技を活かしたワークショップも行いました。
まず、斎藤隊員による空手ワークショップでは、空手着や迫力のある「形(かた)」の演武に、参加者は感動していました。学生たちは実際に空手の突きを体験し、パッドを使った練習にも挑戦していました。空手の精神と動きを肌で感じることができた貴重な時間となりました。
相坂隊員による落ち葉アートワークショップは、特に障がいのある子どもたちを対象に実施されました。エコフォレスト内で集めた落ち葉を、動物のイラストが描かれた台紙に自由に貼り付け、自然素材を使った表現を楽しみました。子どもたちは葉っぱの感触や色合いを味わいながら、自然に触れることを楽しんでいました。
今年の世界環境デーのテーマ「プラスチック汚染」に関連し、私のワークショップではペットボトルキャップをアップサイクルしてキーチェーン作りを行いました。普段はゴミとして捨てられてしまうキャップが生まれ変わり、「こんなにきれいなものが作れるなんて驚いた」という声も上がりました。
SAFODA Eco Forest Parkの施設長ソネタ シニング(Puan Sonetha Sining)さんは、「世界環境の日のプログラムにて、JICAボランティアの60周年を記念し、協力と友好の下開催され成功したことを、大変光栄に思い、深く感謝しています。このプログラムは、単に日本とマレーシア(サバ州)との二国間の関係を祝うだけでなく、環境保護と自然再生の取り組みにおいて、文化・世代・国境を超えた協力ネットワークの力強さを象徴するものとなりました。特に誇らしく感じたのは、北海道の伝統舞踊『ソーラン節』とサバ州の『マグナティップ』ダンスによる文化交流です。これは、多様性の中の調和と、互いの文化を尊重する精神を美しく表現するものでした。また、小学生、中学生、そして高等教育機関の学生たちが積極的に参加したことも、本プログラムの大きな成果の一つです。若い世代の関心とイベントへの参加は、環境問題への意識が彼らの心の中にしっかりと根付いていることを証明しています。本プログラムの象徴的な意義の一つは、198ヘクタールに及ぶ『SAFODA-JICA友好の森』の看板除幕式です。これは、環境の持続可能性への我々の意志を新たにするものであり、継続的な関係の象徴ともなり得るものです。」とコメントしました。
当日は、小中学生、高等専門学校の生徒、SAFODAスタッフ合わせて約200名が参加しました。また、今年の3月までJOCVが活動していた特別支援学級の小学生も本イベントに参加してくれました。JOCVの任期が終了した後もこうした関係が続き、地域のつながりが保たれていることを大変嬉しく思います。今後もこれまで派遣されたJOCVが築いた関係を大切にしながら、活動に取り組んでいきます。
筆者:2024年度2次隊 早川史織(林業・森林保全)
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