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JICA海外協力隊60周年を迎えて -MJIIT Japan Day-

2025.07.01

 JICA海外協力隊は、2025年に発足から60周年を迎えました。マレーシアは、1965年の協力隊発足時に最初に協力隊員が派遣された5カ国の一つで、長年にわたり深い関わりを築いてきました。 

 マレーシアでは、1966年1月に初代隊員が到着して以来、累計1600名以上の隊員が活動してきました。その中で最も多い職種が、「日本語教育」で、累計160名が派遣されてきました。現在は、クアラルンプールにある、マレーシア日本国際工科院(MJIIT : Malaysia Japan International Institute of Technology)に1名の隊員が派遣されています。


 MJIITは、2011年に設立されたマレーシア工科大学の一つの学部で、学部生約759名、大学院生約402名が学んでいます。日本の政府開発援助(ODA : Official Development Assistance)により、日本式の工学教育が導入されているのが大きな特徴です。教員と学生が協働して研究に取り組む「i-kohza」など、日本の工学教育を取り入れた取り組みやシステムが多くあります。

  さらに、日本語や日本文化を専門に取り扱う「日本語・日本文化センター(JLCC : Japanese Language & Cultural Center)」も設置され、2015年より、JICA海外協力隊(日本語教育)が継続的に派遣されています。現在は、拓殖大学・筑波大学・立命館大学の3大学連携事業のもと、拓殖大学より8代目隊員が派遣され、活動しています。

 JLCCでは、隊員は先生方と連携し、日本語の授業や日本文化関連イベントの企画・実施を行っています。

  日本語能力試験(JLPT : Japanese Language Proficiency Test)対策講座や大学院生の選択授業などの各種授業を行うほか、折り紙や浴衣などの伝統文化ワークショップや日本食の体験イベントなど、日本の文化を体験できる活動にも積極的に取り組んでいます。

 定期的に実施される日本文化関連イベントの中でも、最大規模のイベントが、4月15日(火)に行われた「MJIIT Japan Day」です。これは、日本文化を体験できるワークショップやパフォーマンス、学生の普段の研究や学びの成果発表、科学に関する多数のコンテストなど、多様なコンテンツが展開されました。マレーシア全土から訪れた中高生を中心に、来場者が数百人に上る、大きなイベントです。

 JICA海外協力隊では、イベントのサポートに加え、60周年記念事業の一環として、マレーシア各地に派遣されている隊員とMJIITの学生が協力し、「よさこいソーラン」のパフォーマンスに挑戦しました。事前のオンラインでの交流とMJIITでの練習を経て、当日はオープニングセレモニーにて「南中ソーラン」を披露しました。日本の伝統的な文化を通した異文化交流を体験する機会となり、60周年という節目にふさわしいものになったものと考えています。

 加えて、柔道と空手の経験を有する隊員に協力を仰ぎ、武道ワークショップと題し、各武道の紹介と実演、来場客の体験コーナーを実施しました。ワークショップでは、それぞれ経験者の学生に協力してもらい、武道を通した文化交流を図ることもできました。マレーシアでは目にすることの少ない「本場」の演武には、熱い歓声が上がっていました。

 イベント当日にはJICAの広報ブースも設置し、JICAおよびJICA海外協力隊の活動紹介に加え、来場者の名前をひらがなや漢字で書く「Name Writing」体験を行いました。特に、訪れていたマレーシアの中高生たちが、日本語で表記された自身の名前を興味深そうに眺める様子がとても印象的でした。

 MJIITに派遣されている日本語教育隊員について、現場の先生方からは、大学連携の性質上、学生と同世代の隊員が多いことから、学生と親しみやすく、「教員と学生」の垣根を越えた交流により、日本語や日本文化に触れる楽しさをより身近に感じることのできる存在であるという言葉をいただいています。また、授業運営への貢献や、隊員の個性を生かしたイベント企画など、隊員の活動に対しても前向きな意見を頂戴しました。

  JICA海外協力隊がMJIITに派遣されて10年が経ちました。これからも現場からの期待に応えられるよう、そしてマレーシアの学生と日本のつながりがより深いものとなるよう、日本語学習の支援や日本文化の発信に、より一層積極的に取り組んでまいります。

   筆者:JICA海外協力隊 2024年2次隊 日本語教育隊員 山岸友真

 本稿は、KL日本人会ニュースレター2025年月7号にも紹介されています。

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