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【マレーシアのJICA海外協力隊の素顔に迫る!】 「日本語」と「日本文化」でつながる学びの場づくりーマレーシア日本国際工科院(MJIIT)で活動する北村隊員・吉竹隊員-

2026.09.23

    (向かって左:北村隊員、右:吉竹隊員) 

 マレーシア・クアラルンプールにあるマレーシア日本国際工科院(MJIIT: Malaysia Japan International Institute of Technology)内に設置された日本語センター(JLCC: Japanese Language and Cultural Center)は、日本語を履修している学生や、MJIIT内で日本語を学んでいる職員向けの授業や交流イベントを行う拠点です。学生が自由に出入りし、勉強やランチなどに利用できるマルチスペースとしても活用されており、多くの若者たちが日本語や日本文化に親しみながら交流の機会を広げています。今回は、このJLCCでJICA海外協力隊(日本語教育)として活動する北村卓巳隊員、吉竹紗彌佳隊員のお二人に、日々の活動内容ややりがい、そして現地での気づきについてお話を伺いました!

Q :まず、簡単な自己紹介と、現在どのような活動をされているか教えてください!

A (北村隊員・吉竹隊員)私たちはJLCCで、日本語授業の実施と、日本文化イベントの企画・運営を中心に活動しています。日本語の授業では、学部生・大学院生だけでなく、大学入学準備課程(ファンデーション)の学生も担当しています。ファンデーション生は日本語能力試験(JLPT)のN5取得が目標に設定され、日本語授業が必修になっているため、学習意欲の高い学生が多い印象です。授業では、文法や会話だけでなく「日本語を使う場」を意識し、イベントでは、食や遊びなど気軽に参加できる企画を入口に、日本に親しんでもらえるよう工夫をしています。

Foundation Courseの授業で、習った文法を使ってカードに書かれたお店を並べている様子

Q :活動はどのような機関や立場の方々と協力しながら進めていますか?

A (北村隊員・吉竹隊員):
活動場所のJLCCには、マレーシア人教師1名、日本人教師2名、協力隊2名が在籍しています。授業やイベントは教師みなで相談しながら準備し、担当はローテーションで回しています。日本語教育の現場では、教え方の工夫に加えて運営面の調整や準備も多く、現地の状況に合わせて柔軟に動くことが大切だと感じています。

Q :現地で活動される日の、典型的な1日の流れを教えてください!

A (北村隊員・吉竹隊員):
基本は9時に出勤し、まずは大学スタッフ(主にMJIITのスタッフ)向けの日本語授業(9:00〜10:30)を担当します。その後、学生向け授業が続き、13時頃まで授業が入る日もあります。午後は学生との交流や、文化イベントの準備・打ち合わせが中心で、17時頃まで活動します。

学生の長期休暇期間は授業数が少なく、比較的落ち着いたペースになりますが、その分イベントを企画したり、教材を整えたり、次の授業に向けて準備を進めたりしています。

Q :これまでどのようなイベントを実施しましたか?

A (北村隊員・吉竹隊員):
たこ焼きや流しそうめんなど、日本の食文化に触れられる企画は特に反応が良いです。流しそうめんでは、竹の代わりに雨樋(あまどい)を加工して使うなど、現地の環境に合わせて工夫しました。
また、子ども向けには折り紙やひらがな名札作り、感情のオノマトペ(擬音語・擬態語)、ジェスチャーゲーム、だるまさんが転んだなど、日本語と遊びを組み合わせた活動も行いました。イベントや授業は担当を分け、役割を持って準備しています。

たこ焼きの作り方を説明している北村隊員

学生と協力して流しそうめんイベントを行っている様子

Q :活動の中で難しいと感じることはありますか?

A (吉竹隊員):
日本語の文法説明はやはり難しいです。たとえば「大きい」と「大きな」の違いなど、母語話者が無意識に使い分けている表現を、とっさに説明するのは簡単ではありません。ただ、予期しない質問が出るたびに「自分も日本語を学び直している」と感じます。難しさはありますが、そこに発見があり、授業づくりの面白さにもつながっています。

 イベントで子どもたちにレクチャーを行う吉竹隊員

Q :文化や考え方の違いで印象に残っていること、工夫していることについて教えてください!

A (北村隊員):
イベントを企画する際は、お祈りの時間を避けたスケジュールにしたり、ハラール食材を使った料理を選んだり、宗教的配慮が欠かせません。何気なく「これが普通」と思っていた前提を、一つずつ確認し直す必要があります。
また、先輩や職員、過去の学生の体験談によれば、コロナ禍でオンライン化が進み、イベントなどの機会が減ったことで、日本語への関心が薄れ、活動が縮小した時期もあったそうです。そこから盛り返すために、折り紙のような「日本らしさ」だけでなく、日本食など「まず参加してみたくなる入口」を意識して企画しています。

Q :協力隊や海外での挑戦を選んだ経緯を教えてください!

A (北村隊員・吉竹隊員):
参加のきっかけは、ゼミの指導教員からの紹介・打診でした。北村隊員は「せっかくの機会だから、挑戦してみよう」と捉えて参加を決め、吉竹隊員も、教員採用試験に合格した後に受けたオファーを、挑戦の機会として前向きに捉えたといいます。もともと吉竹隊員は、中学校の教員として外国にルーツのある生徒の日本語支援に携わりたいという夢がありましたが、「今の自分に生徒に寄り添った支援ができるのか」と悩んでいた時期でもありました。だからこそ、ここでの活動は、日本語指導力や異文化理解の力を培える貴重な経験になると考え、参加を決めたといいます。

周囲からは心配の声もありましたが、背中を押してくれた人も多く、結果的に「挑戦して良かった」と思える経験になっています。日本語教育の分野では資格や免許が求められる場面もあり、海外で経験を積むことの価値も実感しています。

Q :マレーシアでの生活についても教えてください!

A (北村隊員・吉竹隊員):
同じコンドミニアムに住んでいて、周辺に飲食店は多いのですが、スーパーは少し遠めです。休日は他の隊員や現地の学生と独立記念日のパレードに参加したり、島へ旅行に行ったりと、滞在期間が限られているからこそ「できるだけ外に出て見て回ろう」という気持ちで過ごしています。
現地の学生とフェスティバルや外出に行くこともあり、交流の場が生活の中に自然と広がっていく感覚があります。文化的な驚きもありますが、想像以上に都市として便利で、日本食や日本語が使える場面も多いのは意外でした。

 休日の様子

Q :最後に、国際協力や海外で働くことに関心を持つ若者へのメッセージをお願いします!

A (北村隊員・吉竹隊員):
英語力はもちろん大切ですが、知識があっても使う機会がないと話せません。だからこそ「使おうとする気持ち」を持って、積極的に関わってみてほしいです。

また、日本人だけでなく、さまざまな国の人と交流する経験は視野を広げます。失敗を恐れずに飛び込むことが、自信と適応力につながります。英語力以上に「気合い」「なんとかなる」という前向きな気持ちが、現地では大きな力になると感じています。

 インタビューの様子

聞き手(インタビュー後の感想):

授業とイベント、そして日々の交流の積み重ねで、日本語が「教科」から「コミュニケーション」へと変わっていく。北村隊員・吉竹隊員のお話からは、協力隊の活動が単なる教育支援にとどまらず、人と人をつなぎ、学びの場を育てていく営みであることが伝わってきました。今後も、お二人の現場から生まれる新しい挑戦に注目です!

語り手:北村隊員・吉竹隊員
聞き手:JICAマレーシア事務所インターン 
山田のぞみ 佐藤美友

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