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『ゆがみーる』でメキシコの未来を切り開く!~日本発の健康デジタルソリューション~

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs

2024.11.26

 今回の取材では、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」)が推進する民間連携事業の一環としてメキシコ市場に進出したジースポート社の黒田社長にお話を伺いました。ジースポート社が手掛ける製品「ゆがみーる」は、体の写真を撮るだけで、歪みや姿勢の問題を科学的に分析し、リハビリや健康管理に活用されている画期的なデジタルヘルスソリューションです。

「ゆがみーる」メキシコ進出の背景

黒田社長が「ゆがみーる」を考案したきっかけは、自身のリハビリ経験からでした。
28歳の時に交通事故に遭い、一命をとりとめたものの、歩けなくなるかもしれないという状況に陥ったそう。その際の長期にわたるリハビリを通して、目に見えて結果のわかる「ゆがみーる」を作ることを決意されたそうです。

その後、自身の専門分野であるバイオメカニクスや運動科学の知見を活かし、体の歪みを数値化・可視化する独自の技術を発展させました。当初、日本国内のフィットネスや高齢者施設、病院に向けて提供していましたが、「日本の技術を海外に展開したい」という夢を持ち、まずアジア市場に進出。そして、ゆがみーるが国や人種によらず展開できることから、さらなる市場としてメキシコに着目しました。「メキシコは中南米の中でも人口が多く、特にスペイン語圏としては大きなマーケットです。さらには、他の中南米諸国へも波及が期待できるんです。」と黒田社長は語ります。

医療展示会にて「ゆがみーる」の説明をされている様子

メキシコでの課題と取り組み

黒田社長にとって、メキシコ渡航は3度目ですが、特に苦労しているのが言語だそうです。「メキシコでは英語があまり通じないため、定期的にスペイン語スクールに通い、少しでも現地の方と少しでもコミュニケーションが取れるよう努力しています」
こうした努力の裏には、単に商品を売るだけでなく、現地文化を理解し、最後は人の目で確認し、適応しようとするジースポート社の姿勢が垣間見えます。

SNSマーケティングの工夫

「ゆがみーる」の知名度向上を目指し、日本と同様に海外でのSNSマーケティングも重視しています。個人間の情報交換がメインのSNSであるため、黒田社長は、「ゆがみーるはB to Cではなく、B to B to C(企業から企業を通じて消費者)向けのサービスであるため、SNSをどのように活用するかについては当初議論がありました。しかし、実際にはクリニックやフィットネスクラブの担当者もSNSを参考にしており、重要なツールであると再認識しています。また、海外では日本に比べ個人の発信力が強いため、SNSの効果はより大きい」と語っています。

また、メキシコでの展示会では、Facebookライブ配信やラジオ放送への出演依頼が突然舞い込む一幕があるなど、SNSとメディアを活用したメキシコ市場での認知度向上に尽力しました。黒田社長は「海外では、日本では想定しにくいチャンスに出会うことが多い」とその経験を振り返っています。

今後の展望とメキシコへのメッセージ

最後に、まだまだ予防医療という概念が一般の人々に広がっていないメキシコで、ゆがみーるをどのように発展させていきたいかをお聞きしました。黒田社長からは、
「メキシコでは食品に健康への警告表示マークが用いられていることが身近な予防医療のきっかけとなっていて、そこから発展して予防医療の概念が広がる可能性があると考えます」とお答えいただき、そして、メキシコへの期待をこう語ってくれました。

「ゆがみーる」の使用中の様子

「メキシコでも、これから高齢化が進むにつれ、人々が自分の健康をより意識するようになるでしょう。『ゆがみーる』を通じて、そうした方々に早い段階からサポートを提供し、健康な生活を支えていきたいと考えています」。
メキシコ市場での挑戦はまだ始まったばかりですが、ジースポート社と黒田社長の情熱が「ゆがみーる」を通じて広がっていくことに期待が膨らみます。

インタビューを通して

今回、メキシコ事務所でのインターンシップを通じて、JICAが行っている事業の現場を間近で見ることができました。また、医療エキスポにも参加し、日本企業が実際の市場に出て、多くの人々と触れ合う機会を目の当たりにすることができて、非常に嬉しく感じています。このインターンシップは12月まで続くため、新たなことへの挑戦を通じ成長につなげたいと思います。

JICAメキシコ事務所インターン 伊藤愛佳

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