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PNGが顧みられない熱帯病(NTDs)国家戦略計画を発表、また、NTDsの一つの「トラコーマ」制圧を達成

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs

2025.06.23

2025年6月10日、首都ポートモレスビーでパプアニューギニア(PNG)保健省主催のカンファレンスが開催され、「顧みられない熱帯病( NTDs )国家戦略計画( National Strategic Plan ):優先的に制圧すべき疾病( 2025 年~ 2029 年)」を含むいくつかの計画・戦略が正式に発表されました。

PNGではこれまで、NTDsに特化した国家戦略が策定されていませんでしたが、本計画の策定により、強靭な保健システムの構築、国家主体の取組、包括的なパートナーシップを通じて、PNGで最も脆弱な人々を長年苦しめてきた予防可能な疾病の制圧に向けた明確な道筋が示されました。これは、すべての人がより健康で、公平な未来を享受するための行動への呼びかけでもあります。今回の策定にあたり、本フィラリア対策プロジェクトも一部の監修支援に協力しました。

本戦略に含まれる対象疾患は以下の10疾患です。
1 .リンパ系フィラリア症( Lymphatic Filariasis LF
2.風土病性トレポネーマ症(Yaws)
3.土壌伝播蠕虫症(STH: Soil-Transmitted Helminthiases)
4.疥癬(Scabies)
5.トラコーマ( Trachoma
6.ハンセン病(Leprosy)
7.ブルーリ潰瘍(Buruli Ulcer)
8.狂犬病(Rabies)
9.デング熱(Dengue)
10.ヘビ咬傷(Snakebite Envenoming)

また、同日のカンファレンスでは、PNG におけるトラコーマ(細菌性の眼疾患で、失明を引き起こす可能性のある感染症)が世界保健機関( WHO )により制圧が承認されたことも正式に発表され、同疾患の制圧に貢献した主要なドナー国・団体に対して、Mr. Ken Wai・保健省次官代理より感謝状が贈られました。トラコーマの制圧は、大洋州地域では2022年のバヌアツに次いで、PNGが2カ国目となります。この承認は、今年の世界保健総会(WHA)でも発表され、PNG国内の現地紙でも大きく取り上げられました。

なお、本フィラリア対策プロジェクトと関連するところでは、西ニューブリテン州におけるリンパ系フィラリア症(LF)の集団投薬(MDA)の際に、トラコーマや風土病性トレポネーマ症に有効とされる抗生物質のアジスロマイシンを一部で併用することで、新規患者の発生予防に貢献したと評価されています。また、今回式典で使用されたWHO調達のポスターやバナーのデザインについても、本プロジェクトが協力・支援を行いました。

■(参考)19 May 2025 WHO News Release
Papua New Guinea eliminates trachoma as a public health problem

保健省事務次官代行Ken Wai氏(左)とElias Kapavore保健大臣(右)が、PNGにおけるトラコーマ制圧を証明する認定証を掲示。

トラコーマ制圧式典の場で、JICA専門家によるLF対策プロジェクトに関する発表

WHOテクニカルオフィサーのDr. Jamil Saroshが、「NTDs国家戦略計画」の概要を発表。

グループ写真

NTDs国家戦略計画(2025年~2029年)

NTDs国家戦略計画に掲載されたリLF制圧戦略のページ。

トラコーマ制圧式典用の掲示ポスターのデザインを、WHOと連携して作成。

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