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住民の生計向上を目指して~クイキラの人々と歩んだ時間~

#1 貧困をなくそう
SDGs
#8 働きがいも経済成長も
SDGs

2025.10.22

首都ポートモレスビーから車で約2時間のところに位置するセントラル州リゴ郡クイキラ。バナナの栽培が盛んなセントラル州リゴ郡中心の町には5,000人ほどの人々が暮らしています。ここで西垣隊員は2年間、地域の人々とともに「住民自身の手で暮らしを少しずつ良くしていくための方法」を探り続けてきました。

初めて任地を訪れたとき、彼が感じたのは、現金収入が不安定であることとお金の使い方に対する計画性の乏しさでした。多くの人が「お金が足りない」と感じている一方で、日々の支出を振り返る機会があまりありません。また、一部の住民は収入を向上させるために養鶏や養豚を始めようと考え、その初期費用を工面するためにローンに申し込む一方で、実際に融資を受けられる人は多くない状況でした。目指したのは、外から与える支援ではなく、コミュニティの中にある力を引き出すことでした。

●住民と共に考える「お金の使い方」
活動の中心となったのは、家計管理に関するワークショップ。教会や集会所で約15回開催し、延べ200人が参加しました。「家計簿をつけてみよう」「食費を一週間だけ記録してみよう」そんな小さな取り組みを続けるうちに、人々の間に少しずつ変化が生まれていきました。

ある日、ワークショップの参加者でもある市場でドーナツを売っていた女性が、「材料を買いすぎていたことに気づいた」と話してくれたことがありました。記録をもとに自分の行動を見つめ直す人が現れたことが、活動を続ける大きな力になりました。 誰かがやってきて急に生活を変えてくれるのではなく、自分で少しずつ変えていくことができると感じてほしかった」と彼は振り返ります。

●コミュニティに支えられて
任地にある職業訓練校では、地元の人々と協力して小規模な稲作にも挑戦しました。稲作経験のある住民の知恵を借りながら、試験的に栽培を進めました。生徒が卒業して地元に戻った後に、稲作に取り組むようになることが期待されます。

こうした取り組みを支えてくれたのは、地域のさまざまな人々の存在でした。
教会のリーダーはワークショップの周知を手伝い、警察官は巡回の際に同行し、安全面での協力を惜しみませんでした。 「警察官に“コミュニティのために動くのは俺もお前も同じだ”と言われた言葉が心に残っています。地域を良くしようと考えている現地住民がいることを頼もしく感じました。」

●変化は小さくても、確かにそこにある
「思うように成果が見えないことがほとんどだった」と西垣隊員は振り返ります。それでも、住民の温かさと日々を前向きに生きるたくましさに支えられました。

「自らの行動で生活が変わっていく可能性があると感じてくれた人が少しでもいれば嬉しく思います。」

任地の人々が見せてくれた笑顔と前向きな姿勢。
その一つひとつが、これからもこの地域の力になっていくはずです。
今後も、地域の取り組みが住民の力によって発展していくことを期待しています。

●変化は小さくても、確かにそこにある
「思うように成果が見えないことがほとんどだった」と西垣隊員は振り返ります。それでも、住民の温かさと日々を前向きに生きるたくましさに支えられました。

「自らの行動で生活が変わっていく可能性があると感じてくれた人が少しでもいれば嬉しく思います。」

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