ニューアイルランド州のリンパ系フィラリア症抑制に向けて定点調査を支援
2025.11.12
2025年10月21日、ニューアイルランド州におけるリンパ系フィラリア症(
Lymphatic Filariasis: LF
)の感染状況を確認するための定点調査(
Transmission Assessment Survey: TAS
)の実施に先立ち、同州保健局(NIPHA)の医療従事者を対象とした事前研修が州都ケビエンで開催されました。本調査は同州で
2
回目の実施となり、世界保健機関(
WHO
)の実施ガイドラインに基づいて行われます。第1回目のTASは2021年に実施・完了しており、現行のWHOガイドラインでは計3回のTASを実施し、各回で「Pass」することが求められます。
今回の調査は、パプアニューギニア保健省(NDoH)、WHO、NIPHA、およびJICAプロジェクトチームの協力のもとで準備が進められました。研修では、LFの概要や調査手法の説明に加え、ロジスティクスや報告方法、採血演習、調査計画の作成など、実践的な内容が扱われました。参加者はPHA関係者34名で、前回のTASに参加した経験者も複数おり、終始スムーズな進行となりました。また、今回のTASでは、WHOが調達した新しい
LF
検査キット「
STANDARD Q Filariasis Antigen Test
(
QFAT
)」が、PNG国内のTAS調査として初めて正式に導入されます。
調査は、州内でランダムに選ばれた
30
の行政区・村(
Ward
)において実施され、保護者の同意を得た
6
〜
7
歳の児童
52
名ずつ、合計
1,560
名を対象に採血を行います。採取した検体をその場でQFATを用いて検査し、陽性・陰性が判明します。もし陽性率が1%を超えた場合には、感染の再拡大防止のため、該当地域での追加的な駆虫薬の集団投薬(MDA)が検討されます。
TAS
は、
LF
の再伝播リスクを早期に把握し、感染状況を疫学的に評価するうえで重要な役割を果たす調査です。今回の調査では、PHAの14チームが約2週間をかけて現地調査を実施し、その後、データ集計と分析が行われる予定です。
これらの取り組みにより、PNGにおけるLF制圧に向けて着実に活動を進めていきます。
QFATを用いた採血の練習。
JICA専門家によるロジスティクス、報告方法の説明。
保健省職員によるLF概要説明。
WHO担当官による調査プロトコル説明。
各チームで調査計画の議論
PHA医療品倉庫にて調査物品の仕分作業。
調査バナー。
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