パプアニューギニアにおけるジェンダーに配慮した数学・理科教育のための未来の教師育成
2025.11.14
初等教員養成強化プロジェクト
協力形態:技術協力
分野:教育
期間:2020年9月~2026年3月
男女平等な学びの機会を創出する取り組み
パプアニューギニア(PNG)では、学習の過程や学力の面でのジェンダー格差が大きな問題としてあります。多くの教室では、理科実験や数学の議論において女子の参加が消極的になりがちです。固定的なジェンダー規範やロールモデルの不足が、特にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野における将来の職業を思い描くことを妨げています。さらに、教室外ではジェンダーに基づく暴力や社会的不平等が女子の自信や機会に影響を与えており、教育とジェンダー平等の課題は深く結びついています。
こうした課題に対応するため、本プロジェクトは全国15の初等教員養成校を支援しています。数学・理科の教員養成課程において、学生用テキストや講師用指導書を開発し、教育の質を高めるとともに、ジェンダーに配慮した教授法を推進しています。ジェンダー主流化はこの取り組みの中心であり、男女問わず学生が自信を持って学び、参加し、成長できる環境づくりを目指しています。
ジェンダーに配慮した教育の前向きな変化
プロジェクト開始前から、多くの講師は「すべての学生に学ぶ権利がある」という意識を持っていました。プロジェクトのジェンダー研修やピアディスカッションを通じて、講師はジェンダー平等への理解を深め、授業実践への取り入れ方を探求しました。
2025年7月のエンドライン調査の講義観察では、講師が女子学生に対し、実験やグループワークで積極的に発言を促す姿が見られました。これにより、女子学生は以前より自信を持って議論に参加するようになっています。また、講師は「数学や理科を使って現実の問題を解決することは、性別に関係なく重要である」と強調しています。
さらに、こうした変化は将来教壇に立つ学生教師たちが現場で変化を広げていくことにつながっています。ある講師は、学生がジェンダーに基づく暴力などの社会課題に気づき、教育がより公平な社会を築く力になることを理解するようになったと報告しています。多くの講師が、女子学生の参加や理解の向上、自信と意欲の高まりを実感しています。
今後の展望
JICAは、講師、学生、プロジェクトチームと協力し、特に数学・理科分野における女子の学びを後押しするジェンダーに配慮した教育実践を引き続き支援していきます。そして、女子が学びを力に変え、新しい機会を切り開き、自らの将来に関して主体的で力強い判断と行動を起こし、より包括的で公平な社会の構築に貢献していきます。
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