農業分科会 in PNG:地域と共に歩む取り組み



2025.04.01
PNG国の農業分野では、現在7名の隊員が、学校での農業指導や州・地区行政の支援などの活動を行っています。隊員は日本とパプアニューギニア(PNG)の農業の特性の違いを理解し、現地の状況に即した活動を展開するために、日本のNGOであるOISCA(オイスカ)と連携し、東ニューブリテン州のOISCAラバウル・エコテックセンターで研修を実施しました。
●研修1日目:PNGの気候条件に適した稲作技術の学習
研修初日はPNGの気候や条件に適した稲作について学びました。研修は、種子選別、浸種、苗床作り、播種、田植え、精米、袋詰めといった稲作の手順に沿って行われました。
PNGでは、食文化の多様化に伴い米の需要が増加しており、国内での稲作拡大が求められています。2022年のデータによると、PNGは中国、タイ、ベトナムなどの国々から18万トン以上の米を輸入しており、安定供給のための国内生産拡大が課題となっています。
隊員は、農機具へのアクセスが限られたPNGでも実施可能な稲作手法を学びました。また、PNGで広く栽培されている陸稲(畑で栽培する米)と、日本で主流の水稲(水田で栽培する米)の違いを理解し、PNGにおける稲作拡大の可能性について議論しました。
●研修2日目:ココナッツオイルを活用した石鹸づくり
2日目はココナッツオイルを活用した石鹸づくりを体験しました。農産物の加工は、原材料に付加価値を与え、販売品の多様化を促進することで、農家の収入向上につながります。PNGでは多くの人々が家庭菜園や畑で農作業を行っているため、石鹸づくりの導入は生活改善に役立つことが期待されます。
講師は、PNGで人気のあるノニの根やモリンガなどの植物をココナッツオイルと混ぜて石鹸を作る方法を指導しました。これらの植物を加えることで、石鹸の品質が向上します。例えば、ノニの根は香りが良いだけでなく、肌のかゆみを和らげる薬効もあります。
参加者の一人は、「石鹸づくりは地域の衛生環境の改善にも役立つため、自身の活動にも取り入れたい」と述べ、同僚たちと地域住民への普及を検討していることです。
●研修3日目:有機的な家庭菜園の手法
3日目は有機的な家庭菜園の手法について学びました。PNGでは多くの人々が家庭菜園で日々の食料を自給しており、隊員も作物の品質向上と収穫量の安定を目指して、支援方法を模索してきました。有機農法の導入により、より質の高い作物の収穫と安定した生産量の確保が期待されています。
参加者した隊員たちは、家庭菜園を訪問し、講師から以下の技術を学びました。
・腐葉土の活用による土壌改良
・木炭を農薬代替品として使用する方法
・竹を使った苗床の作り方
・育苗場の適切な利用方法
・苗の移植方法
参加した隊員は、PNGの資源が限られている状況でも導入しやすい実用的な技術として高く評価し、これらの技術を現地で応用することで、作物の収穫量と品質向上に寄与できると考えています。
●研修参加者の声:現場での応用に期待
研修に参加した隊員からは、「今回の研修は非常に実践的で有意義だった。学んだことを、今後、活動先の地域住民や生徒たちに紹介していきたい」との声が寄せられました。
この研修で得らえた知見は、派遣先で広く紹介・活用されることが期待されます。
●関連リンク
・PNG農業分科会 OISCA 研修初日ざっくり紹介
・PNG農業分科会 ~OISCA研修2日目~
・PNG農業分科会(3日目)
●最新の活動やイベント情報はフェイスブックでもご覧いただけます。(英語)
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