jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

事務所長あいさつ

2025年3月にJICAスリランカ事務所長として着任しました。

スリランカ民主社会主義共和国は、その美しい形状から「インド洋の真珠」と称され、また東南アジア・東アジアと中東・アフリカとを結ぶシーレーン上の中心に位置することから「インド洋の十字路」と呼ばれてきました。古くから多様な文化が交差する歴史を持ち、数多くの世界遺産や豊かな自然に恵まれた国です。

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また、衣類や紅茶、ゴム製品といった質の高い産品を多く輸出していることに加え、インドやバングラデシュといった南アジアの巨大市場に近接し、ASEANや中東、アフリカにも比較的近い距離にあり、水深の深い大規模港湾を有するといった特徴もあります。そして何よりも、基礎的な教育水準も高く優秀で、手先が器用で意欲にあふれる人材という大きな財産を有しています。私がこの地で日々感じるのは、人々の寛容さと温かさ、そして治安の良さです。

日本とスリランカの関係は非常に古く、歴史的に深い絆で結ばれてきました。1951年のサンフランシスコ講和会議に際して当時の財務大臣であった故ジャヤワルダナ元大統領が「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用し、戦後の日本が国際社会の一員として受け容れられるよう訴える演説を行ったことはよく知られています。また、2004年に発生したインド洋大津波によるスリランカでの甚大な被害に対して日本が緊急援助を提供し迅速に復興支援を行い、逆に2011年の東日本大震災の際にスリランカが多大な支援を寄せてくれたことは、両国が国レベル・個人レベルで大切な友人であることを示しています。

JICAはこれまで半世紀以上にわたり、スリランカに対する開発協力を行うリードパートナーとして歩んできました。港湾や道路・橋梁、水力発電所などのインフラ整備はもちろん、農業振興、病院・教育機関等の充実、地方部の貧困削減、防災体制の強化に至るまで、多角的な支援を展開しています。また、海外協力隊の派遣は開始から40年を超え、人を通じた心の通う協力は、両国の強固な信頼関係の礎となっています。

近年、スリランカは新型コロナウイルスの流行や未曾有の経済危機という大きな困難に直面しました。JICAはこれら緊急時においても、常にスリランカの人々に寄り添い、そのニーズに応え迅速に支援を行ってきました。2022年にスリランカは経済危機に陥りましたが、日本の主導的な役割もあり、債務再編が迅速に進められ、現在はそうした危機的状況から急速に脱却し、経済回復に向けて着実に歩を進めつつあります。観光客数も経済危機以前と同等もしくはそれを超える水準へと回復しつつあり、輸出・投資ともに大きく伸びるなど、回復への確かな手応えが感じられます。

このようなスリランカの状況を踏まえ、JICAは、現在の経済回復基調を支えるとともに更なる成長促進と経済社会の強靭性強化に向けて、以下の重点分野に注力して取り組んでまいります。

  • (1) 財政・構造改革や経済基盤の強化: 投資促進・輸出振興などの産業競争力強化、電力や運輸インフラなどの整備、行政能力強化などのガバナンス強化を支援します。
  • (2) 社会の強靭性強化: 女性や子どもを含む脆弱層に対する社会サービスの改善や開発の遅れた地域での貧困削減、豪雨や洪水などに対する防災や気候変動対策の強化、水衛生や廃棄物管理などの環境改善に取り組みます。
  • (3) 平和と安定の確保: 地域等のバランスに配慮した経済社会開発や、海上保安分野の対応能力強化等の取組みを継続します。

JICAは、「信頼で世界をつなぐ」というビジョンの下、スリランカが様々な課題や困難を乗り越え、さらなる発展と輝かしい未来を築けるよう、これからも共に歩んでまいります。

JICAスリランカ事務所長
黒沼 健二