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JISR生として学生生活を振り返って

JICAで実施している、「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム(JISR)」は、「シリアの平和構築及び内戦終了後の復興、シリアと日本の架け橋となる人材育成」を目的に、シリア危機により就学機会を奪われたシリア人の若者に教育の機会を提供しています。母国シリアの状況を踏まえ、JISR研修員の多くはJISRプログラム終了後に日本で就職することを目指しています。そのため、彼らは、来日してから大学院入学までの8か月間は日本語研修に参加し、大学院入学後も、日本語学習を続けながら、修士号取得のための研究活動と就職活動にも力を入れています。
今回は、2024年10月からの就職先を決めたJISR生に、プログラムを経て得た成果をインタビューしました。
彼らの日本語研修の様子は以下のリンクからご覧いただけます。

Q1. 広島での日本語研修についてはいかがでしたか。また、大学院入学後はどのように、日本語力を伸ばしましたか

日本語研修の授業の長さやコマ数の多さに慣れるのが大変でしたが、日本語を勉強するための基礎が出来たと思います。
大学院に通うために神戸に引っ越した際は、基礎的な日本語しか話せず、コミュニケーションに苦労することもありました。しかし、生活の中でたくさんの方が積極的に話しかけてくれたお陰で、実践的な日本語を身に着けることができました。加えて、関西の方はとてもフレンドリーで、コミュニケーションを取りやすかったことが日々の日本語の上達につながったと感じています。
その他にも、日本語研修中に教えてもらったシャドーイングの勉強方法を続けて行うことで、日本語の発音を意識して勉強することができました。

2年間通った神戸情報大学院大学

2年間通った神戸情報大学院大学

Q2. 大学院での様子を教えてください。

大学院で修士論文の執筆と日本語の勉強を両立させるのはとても大変でしたが、指導担当の先生がたくさんサポートをしてくれたと感じています。すぐに修士論文の作成に取り掛かることが出来るように、入学初日からテーマ決めの時間をとってくれたり、日本語検定の前には、勉強に集中できるようにしてくれました。
また、大学院内での留学生同士のつながりがあったことで、お互いに情報を共有できたり、助け合えたりしたことがメンタル面での支えになりました。

学生時代に訪れた思い出の場所、六甲山からみた神戸の景色

学生時代に訪れた思い出の場所、六甲山からみた神戸の景色

Q3. これから就活活動を始めるJISR生へのメッセージをお願いします。

私がこれから就活を迎えるJISR生に伝えたいことは3つあります。
1つ目は、自分に自信を持つことです。
就職活動では、ジョブフェアに参加したり、エントリーシートを書いたり、面接の準備をしたりと多くの時間と努力を要しますが、それがすぐに結果に結びつくわけではありません。自身の就職活動を振り返ると、応募した会社からの結果を見て落ち込むこともあり、日本での生活の中で一番つらかった時期でした。
しかし、結果に一喜一憂せずに、常に努力を続けていれば、最終的には自分が望む進路をかなえることができると考えています。
2つ目は、自分の興味がある企業を選ぶことです。
ジョブフェアなどで様々な企業を見る機会を生かして、自分の興味や将来の目標に合う企業を探し、積極的にアプローチすることが重要だと思います。
3つ目は、自分の今までの経験を点と点で結びつけることです。
私はいつも経験と経験をつなげることを意識的に行っています。実際に、私は大学で専攻しているコースの授業だけではなく、他の授業も積極的にとることで、自分の専門に対する見方を深めたり、学んだ知識同士をつなげたりすることを意識していました。また、過去の経験が、その当時は思いもよらなかったことに生かせることもあるため、積極的に学びや経験をすることも大切だと感じています。

編集後記

母国と異なる文化や言語の中で、学位取得、日本語学習と同時並行で就職活動を行うことは、決して容易ではないにも関わらず、将来を見据え積極的に専門外の授業を履修し、興味や関心を深めていたことが印象に残りました。
JISR生へのアドバイスからは、改めて、初心を忘れず常に学び続けることの大切さを感じました。
新天地での生活と仕事が楽しみだと語っていたインタビューに協力してくれた研修員の今後の益々のご活躍を祈っています。