農産品加工で震災復興を目指す!トルコ・アグロインダストリー競争力強化プロジェクトが開始
2024.06.04
2024年5月22日と31日に、オンライン及びアンカラの産業科学技術省地域開発庁総局にて、アグロインダストリー競争力強化プロジェクト(開発調査型技術協力)のキックオフミーティングを開催しました。
この案件は、2023年2月のトルコ・シリア地震で被害を受けたハタイ、カフラマンマラシュ、アドゥヤマン、マラティヤ等の県を管轄する4つの地域開発庁とともに、南東アナトリア地域のアグロインダストリーの戦略計画策定と実証事業を行うことで、農産物の付加価値向上と多様化を図り、同地域のアグロインダストリーの競争力強化に寄与することを目指しています。
〇南東アナトリア地域の農業と地域開発
本案件の対象である南東アナトリア地域は、中東や中央アジア各国の市場にも近く、肥沃な土壌に恵まれていることから、農業セクターを軸に開発ポテンシャルが高く、トルコ政府は70年代より南東アナトリア開発計画(GAP)による大規模インフラの整備等に取り組んできました。トルコ最大規模のアタチュルクダム建設や灌漑施設の整備、高速道路の建設が進み、農業生産と物流の環境改善も進められてきました。
南東アナトリア地域の主要な農産物は、ピスタチオ、ブドウ、オリーブ、小麦、綿花等です。生産される一次産品の品質は高いものの、現状では多くが南東アナトリア地域で加工されないままイスタンブールをはじめとする国内の大消費地や海外に売られ、生産者の収入増や地域の発展につながりにくい構造になっています。
高いポテンシャルを活かし、地域の競争力を強化するためには、地域の特性を生かした高付加価値品を開発・創出し、安定的に生産できるようになることが、地域開発の観点から必要となっています。
〇2023年トルコ・シリア大地震が発生
2023年2月6日、2度にわたるトルコ南東部のカフラマンマラシュ県を震源地とした地震(マグニチュード 7.7、7.6)が発生し、南東アナトリア地域を含む合計11県が被災しました。トルコ復興再建アセスメント(Türkiye Recovery and Reconstruction Assessment)によると、2023年3月時点での死者数は約4.8万人、負傷者約12.6万人、行方不明者数千人、他地域への避難民は330万人にのぼりました。約200万人が被災地でテントやコンテナ仮設住宅に避難し、震災から1年以上経過した2024年現在も、コンテナ村を中心に多くの人が避難生活を続けています。農業セクターでは、家畜の被害や畜舎、貯蔵施設、物流施設等の倒壊、農産品加工施設や灌漑施設の機材の破損等の被害が発生しました。
〇日本の地域開発・震災復興の知見をトルコへ
農産物の高付加価値化・競争力強化を地域開発庁主導で戦略的に推進し、地域開発庁が、地域のポテンシャルや市場環境を調査・分析した上で、高付加価値化・競争力強化に向けた地域戦略を策定し、中小企業と協働で取り組みを進めることができるよう、地域戦略計画、課題分析、市場調査、パイロットプロジェクト等の協力を行っていきます。活動にあたっては、日本における農産物高付加価値化、地域ブランディング、被災地復興支援に関する知見を参考とし、日本の市町村の成功事例を基にした地域ブランディングの手法に基づき、トルコ国における農村地域のアグロインダストリーの活性化を図っていきます。
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