日本・トルコ外交樹立100周年記念:マルマライ地下鉄における記念ラッピング車両をお披露目
2024.10.01
2024年、日本とトルコは外交樹立100周年を迎えました。両国の長い協力の歴史において、ボスポラス海峡横断地下鉄整備事業(通称:マルマライ)は、日本とトルコの代表的な友好事業として広く知られています。
この度、日本・トルコ外交樹立100周年を記念したラッピング車両がマルマライ地下鉄にて運行されることとなり、記念式典が2024年9月29日に開催されました。式典には、イシュクルト運輸・インフラ副大臣、天河国土交通省審議官、エイギュ インフラ投資総局(AYGM) 局長、勝亦駐トルコ日本国大使、遠山JICA中東・欧州部長、渡辺JICAトルコ事務所長らに加え、マルマライの建設に従事された大成建設株式会社、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル、ユクセル社等多くの企業関係者も参加しました。また、日本・トルコ外交樹立100周年を記念したラッピング車両も一般に向けて披露されました。
アジア大陸とヨーロッパ大陸にまたがって広がるイスタンブール市では、かつて、市民は2つの大陸の間を橋か船を使って移動しなくてはならず、慢性的な交通渋滞と大量の排気ガス排出が課題となっていました。更なる交通需要の増大に対処するため、ボスポラス海峡を横断するマルマライ地下鉄が整備されました。日本政府は同事業に対して円借款を1999年より供与しており、海底を横断するトンネル建設については、大成建設がトルコ企業との協力のもと取り組みました。最も深いところで海面から約60mの海底にトンネルを設置する工事は、様々な困難に直面しながらも成功し、アジア大陸とヨーロッパ大陸が地下鉄によってつながりました。
アジア側とヨーロッパ側を海底で結ぶアイディアは、オスマン帝国のスルタン、アブドゥルメジト1世が1860年に最初に構想したと言われています。マルマライの成功は、まさにトルコの150年の夢をトルコと日本の協力により実現したものでした。建設中には様々な歴史的な遺跡や遺物の発掘により遅れが生じるなど、長い歴史をもつイスタンブールならではの困難もありましたが、マルマライ地下鉄は、トルコ建国90周年にあたる2013年についに開業し、人々の生活に貢献しています。
式典では、トルコ政府、建設業者、考古学専門家、大成建設、オリエンタルコンサルタンツグローバル、アヴラシャ・コンサルティング、地元コミュニティなど、多くの関係者への感謝が述べられました。
また、同日深夜には、マルマライの海峡横断トンネルの中央部に設置されている記念プレートが公開されました。同プレートは、2013年の部分開通時にエルドアン首相(当時)と安倍首相(当時)によってボルト締め、設置されたものです。
マルマライにおいて残る唯一の工事は、かつてバグダード鉄道の始発駅としての役割も担っていた歴史的なハイダルパシャ駅周辺の建設あり、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルの協力のもと、同工事も最終段階に入っています。
本式典において、遠山JICA中東・欧州部長は、マルマライを「日本政府、そしてJICAによる、トルコ共和国のさらなる繁栄に向けた称賛と信頼の象徴」と語りました。マルマライを通じて、長年の友好国であるトルコと日本のパートナーシップがさらに深化し、この先の100年においても強化され深まっていくことを願います。
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