~サッカーが開く未来への扉~TICAD CUP2023(女子サッカートーナメント戦)を開催しました!

2023.11.28

サッカーは男性が行うスポーツという固定観念があるウガンダにおいて、難民の
参加を含む女子サッカートーナメントを開催しました。女子サッカーが輝かしい夢と感動に満ちた未来への扉を開きます。

TICAD CUP 2023

2023年9月1日から3日、JICAウガンダ事務所は、ウガンダサッカー連盟(FUFA)、ウガンダサッカープレミアリーグ所属のソルティーロ・ブライトスターズ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ウガンダ事務所との共催で、TICAD CUP 2023(女子サッカートーナメント戦)を、昨年に引き続き開催しました。150万人以上の難民を受け入れるウガンダにおいて、難民とホストコミュニティ(難民を受け入れている地域の住民)の混成チームを含めた女子サッカートーナメントを行うことで、ウガンダ社会における難民の現状についての理解を促進することを目的に実施しました。また、スポーツにおけるジェンダー平等の促進、今年30 周年を迎えたTICAD(アフリカ開発会議)、今年12月に開催されるグローバル難民フォーラム(日本、ウガンダが共に共同議長国)への認知度を高めることも目的としました。選手、招待客を含む約200名が参加し、10社以上のメディアで報道される等大きな注目を集め、日本がTICADを通じて目指すアフリカ自身が主導する難民支援、ジェンダー平等促進の取組みを、スポーツを通じて力強く後押ししていくイベントとなりました。

開会式にて、バナーを持って集合写真に納まる全選手とゲスト

開会式にて、バナーを持って集合写真に納まる全選手とゲスト

サッカーがくれた夢と希望

トーナメントにはFUFAが招待した4チームに加え、昨年度に引き続きパギリニャ難民居住区の難民とホストコミュニティの混成チーム(パギリニャ・ヤングレディース・スポーツクラブ)と、JICAのサポートで今年6月に結成されたばかりのルワマンジャ難民居住区の混成チーム(ルワマンジャ・クイーンズ)が参加。パギリニャ難民居住区チームとジンジャ高等学校チームは、JICAの活動に賛同した公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)から提供されたユニフォームを着て試合に臨みました。
ウガンダでは、サッカーは男性が行うスポーツ、との認識がまだまだ広く持たれています。女性がサッカーをしたくても満足にできないことも。その中で、ルワマンジャ難民居住区チームのキャプテンはこう語りました。
「サッカーに出会って自分の才能に気づくことができ、今ではサッカーを通して自分が有名になることができている。」
厳しい環境で生活する中で、サッカーに出会うことによって日々の希望や夢を見出し、明日への活力にしていることが伝わりました。

今年のトーナメントは、昨年に増してレベルの高い試合が繰り広げられました。パギリニャ難民居住区チームは、1年間の練習の成果を十分に発揮し、本大会全チーム初のゴールを飾りました。また、2日目に行われた順位決定戦は全チーム譲らず、多くの試合がPK戦にもつれ込む大接戦。緊張感漂うPK戦を最後に制したカウェンペ・ムスリム高等学校が初優勝しました。

WEリーグより寄贈されたユニフォームを着て試合に臨む選手たち(左:アルビレックス新潟レディース、右:ちふれASアルフェン埼玉)

WEリーグより寄贈されたユニフォームを着て試合に臨む選手たち(左:アルビレックス新潟レディース、右:ちふれASアルフェン埼玉)

優勝し、チームで喜びをわかち合うカウェンペ・ムスリム高等学校の選手たち

優勝し、チームで喜びをわかち合うカウェンペ・ムスリム高等学校の選手たち

  • アルビレックス新潟レディース

 【WE ACTION DAY】ウガンダJINJA中高等学校との交流・NiFA主催パラサッカーフェスティバルへの参加を実施いたしました! - アルビレックス新潟レディース (albirex-niigata-ladies.com)

  • ちふれASアルフェン埼玉

 エルフェンのユニフォームがウガンダの女子選手に贈られました! | ちふれASエルフェン埼玉 (as-elfen.co.jp)

サッカーは選手同士の心を繋ぐ

今回のイベントは、難民とホストコミュニティ、普段難民と関わる機会のない一般のウガンダ人学生との間の相互理解促進を目的の一つとしており、選手は試合の時間以外にも同じ施設内で寝食を共にし交流を深めました。各チームの実力差こそありましたが、全員がお互いを尊重し、難民とウガンダ国民同士の相互理解が促進されました。

特に難民居住区の2チームは、ソルティーロ・ブライトスターズのプロ選手やコーチによるサッカー教室に参加し、交流を深めました。サッカー教室では、基礎的なトレーニングや、周囲の仲間にパスを出し合う練習に、共に汗を流しながら熱心に参加する姿が見られました。
難民居住区同士での対戦となった5位決定戦では、両者一歩も譲らずPK戦へ。PK戦を制したのはルワマンジャ難民居住区チームでしたが、勝利が決まった瞬間、チーム内で喜び合うだけでなく、パギリニャ難民居住区チームへも歩み寄り、握手をしながらお互いの健闘をたたえ合う姿が印象的でした。試合後は共に集合写真を撮り、難民居住区チーム同士のつながりが生まれました。

サッカー教室にて、ソルティーロ・ブライトスターズのプロ選手より直接指導を受ける選手

サッカー教室にて、ソルティーロ・ブライトスターズのプロ選手より直接指導を受ける選手

難民居住区チーム同士の試合後、互いに健闘を称え合いながらの記念写真

難民居住区チーム同士の試合後、互いに健闘を称え合いながらの記念写真

嬉し懐かし日本との繋がり

昨年に続き、今年も日本・JICAについての理解促進の観点から、JICA海外協力隊による空手の実演や日本文化紹介ブースが設けられました。特にお箸を使った豆掴みが大人気で、選手同士で競い合っていました。また、JICA協力隊により、名前を習字で書いたものが選手にプレゼントされました。選手たちは、初めて見る日本語を不思議そうに眺めながら大切に持って帰っていました。

今回準優勝したジンジャ高等学校は、協力隊員が数年間にわたり派遣されていた学校です。参加した選手たちは、元隊員からサッカーの指導を受けており、その練習の成果が実った準優勝となりました。大会中、日本にいる元隊員とビデオ通話を行い、旧交を温める場面も。選手たちの心にはしっかりと隊員との思い出が刻まれており、今回の大健闘と再会を共に喜び合う姿が印象的でした。

日本文化紹介ブースにて、豆掴みに挑戦する選手とやさしく見守る協力隊員

日本文化紹介ブースにて、豆掴みに挑戦する選手とやさしく見守る協力隊員

協力隊員の書いた習字を手に笑顔を見せる選手

協力隊員の書いた習字を手に笑顔を見せる選手

元隊員(写真右に立つ隊員の持つスマートフォンにて通話中)との再会を喜ぶジンジャ高等学校の選手たち

元隊員(写真右に立つ隊員の持つスマートフォンにて通話中)との再会を喜ぶジンジャ高等学校の選手たち

  • 元隊員のジンジャ高等学校での活動

 スポーツの力が世界をつなぐ| ウガンダ | アフリカ | 各国における取り組み - JICA

スポーツで目指す平和の促進

今回のイベントは、ウガンダの全国紙や地元紙の記事掲載、テレビニュースでの紹介など地元メディアでも大きく取り上げられました。開会式には在ウガンダ日本国大使、ウガンダの首相府難民局や、UNHCR 及び UN Women の駐ウガンダ代表が参加するなど、「スポーツ×平和構築」が注目されている近年の潮流を背景に本イベントは大きな注目を集めました。
今年12月には、グローバル難民フォーラムが開催予定であり、ウガンダと日本は共同議長国となっています。ウガンダに滞在する難民は増加する一方であり、難民とホストコミュニティの相互理解を促し、平和的共存を進めていくことが不可欠です。JICAウガンダ事務所は引き続き、TICAD CUPなどイベントを通して「スポーツ×平和構築」の観点からも、難民・ホストコミュニティ支援に取り組んでいきます。

福澤在ウガンダ日本国大使とUN Womenウガンダ事務所代表によるキックオフセレモニー

福澤在ウガンダ日本国大使とUN Womenウガンダ事務所代表によるキックオフセレモニー

閉会式にて、隊員より参加賞のサッカーボールのプレゼント

閉会式にて、隊員より参加賞のサッカーボールのプレゼント

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