「国際女性デー」に向けて難民居住区で女子サッカーイベントを開催!~サッカーがきっかけで変わる人生~

#5 ジェンダー平等を実現しよう
SDGs
#16 平和と公正をすべての人に
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.03.08

サッカーで人生が変わる。ルワマンジャ難民居住区で開催された女子サッカーイベント。一心不乱にボールを追いかける選手の中に、 JICAのサッカーイベントがきっかけで人生が大きく変わった選手がいました。

女子サッカーの発展に繋がる継続的なイベントを

 3月8日の「国際女性デー」(International Women's Day)に合わせ、2024年3月2日、JICAウガンダ事務所はウガンダ首相府難民局、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ウガンダサッカープレミアリーグ所属のソルティーロ・ブライトスターズ、現地のNGOの協力の下、ルワマンジャ難民居住区で女子サッカーイベントを開催しました。2024年2月末現在ウガンダは164万人を超える難民を受け入れており、ルワマンジャ難民居住区には主にコンゴ民主共和国からの難民が9.5万人住んでいます。
 本難民居住区を対象とした女子サッカーイベントの開催は昨年6月の「世界難民の日」に合わせたサッカーイベント、9月のTICAD CUP 2023(女子サッカートーナメント戦)に続き三回目。単発のスポーツイベントが多い中、「JICAは継続的にイベントを実施してくれて有難い。こういう活動が女子サッカーの発展や難民と受入れ地域コミュニティ(ホストコミュニティ)の平和的共存に繋がっていく」といった声が参加者から聞こえました。

開会式にて写真に納まる全選手及び関係者一同

開会式にて写真に納まる全選手及び関係者一同

楽しめるサッカー教室、そして国際女性デーへの連帯

 当日は、難民とホストコミュニティの計75名(主に16歳から19歳)の女性がイベントに参加しました。今回は難民居住区内だけでなく、難民居住区から車で2時間離れたフォートポータル市にあり、難民チームとの交流を熱望していたキング・オブ・キングス高等学校も参加。
 午前中にソルティーロ主導による遊び心満載のサッカー教室が行われ、久しぶりの再会で緊張していた選手たちもすぐに打ち解け、チームの枠を超えた練習に汗を流しました。ランチ時間にはNGOによる「ジェンダーに基づく暴力」対策に関する寸劇が行われるなど、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントに対する関心を深めるとともに、国際女性デーへの連帯を示す機会となりました。午後には日頃の練習の成果を発揮する試合が行われ、会場に駆け付けた難民居住区の住民が選手のプレーに一喜一憂する光景が見られました。また、新たな試みとしてソルティーロによる参加チームのコーチに対する指導トレーニングも実施されました。

ゲーム要素を取り込んだサッカー教室で技術を培う参加者

ゲーム要素を取り込んだサッカー教室で技術を培う参加者

各チームのキャプテンに説明を行うソルティーロの土屋コーチ

各チームのキャプテンに説明を行うソルティーロの土屋コーチ

ちふれASエルフェン埼玉からのユニフォーム寄贈に笑顔溢れる参加者

 開会式では、イベントの趣旨に賛同した日本の女子プロサッカークラブ『ちふれASエルフェン埼玉』から公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)を通じて選手たちにユニフォームが無償で提供されました。選手は寄贈ユニフォームをすぐに着て満面の笑顔に。UNHCRも開会式のスピーチでユニフォーム寄贈に対して謝意を述べました。ちふれASエルフェン埼玉は2022年のTICAD CUPでもユニフォームを寄贈してくださっており、当時優勝したキング・オブ・キングス高等学校のチームはその時のユニフォームを着用して今回のルワマンジャでのイベントに臨みました。寄贈から一年半以上が経つにも関わらずユニフォームはとても綺麗で、「思い出が詰まったとても大事なユニフォーム。選手が着た後は清潔にしてコーチが大事に保管している」とのことで、寄贈されたユニフォームが大切にされていることが確認できました。

井上JICAウガンダ事務所長からユニフォームを受け取る難民選手

井上JICAウガンダ事務所長からユニフォームを受け取る難民選手

「ちふれASエルフェン埼玉、ありがとう!」と写真に写る難民・ホストコミュニティ混成チーム

「ちふれASエルフェン埼玉、ありがとう!」と写真に写る難民・ホストコミュニティ混成チーム

ちふれASエルフェン埼玉寄贈のユニフォームを着用したチーム同士の一戦

ちふれASエルフェン埼玉寄贈のユニフォームを着用したチーム同士の一戦

2022年に寄贈されたユニフォームは今も綺麗に使用されている

2022年に寄贈されたユニフォームは今も綺麗に使用されている

サッカーがきっかけで人生が大きく変わった!

 今回のイベントで、体は小さいけれど卓越した技術で参加者と観客を魅了した選手が一人。ASエルフェン埼玉のユニフォームに袖を通しキング・オブ・キングス高等学校のキャプテンとしてプレーをする彼女、実は昨年のTICAD CUPにルワマンジャ難民居住区のチームキャプテンとして参加していました。なぜ今回は遠く離れたキング・オブ・キングス高等学校の選手として参加しているのか疑問に思い聞いたところ、驚きの答えが返ってきました。なんと前回のTICAD CUPで彼女のサッカーセンスに魅入られたキング・オブ・キングス高等学校がTICAD CUPの後に難民居住区を訪れ彼女をスカウトし、その結果、今では彼女は奨学金をもらい、サッカーを頑張りながらキング・オブ・キングス高等学校で勉強しているとのこと!「JICAのサッカーイベントに参加したことで、私の人生は大きく変わった。TICAD CUPがあったからより良い環境で勉強もサッカーもできるようになった。JICAにはすごく感謝している」と嬉しい言葉を口にしてくれました。彼女はさらにこう続けました。「サッカーをしていたことによって選択肢が大きく増えてとても嬉しい。でもここがゴールではない。この機会を生かして色々なことに挑戦したい。もちろんサッカーは続けるよ!」

TICAD CUPをきっかけに奨学金を受けることになった難民選手

TICAD CUPをきっかけに奨学金を受けることになった難民選手

本イベントでもゴールを量産した元ルワマンジャチームキャプテン(現キング・オブ・キングスチームキャプテン)

本イベントでもゴールを量産した元ルワマンジャチームキャプテン(現キング・オブ・キングスチームキャプテン)

スポーツを通し希望が持てる選択肢づくりを

 昨年12月、ウガンダと日本が共同議長国を務めた難民支援に関して議論する世界最大の国際会議「グローバル難民フォーラム」が開催されました。本フォーラムにおいてJICAが「宣言(Pledge)」した取り組みの一つが「スポーツ」です。難民受入れ数が増加の一途を辿るウガンダで、難民とホストコミュニティの平和的共存の促進、そして難民の半数以上を占める女性のエンパワーメント促進を主な目的としてJICAウガンダ事務所は様々な団体と協力の下、サッカーイベントを実施してきました。UNHCRによると、前述した選手のようにJICAウガンダ事務所のイベントをきっかけに難民居住区外の学校にスカウトされてより恵まれた環境でサッカーと勉強を続けている難民が少なくとも4名いるとのこと。JICAが提供した機会によって、難民とホストコミュニティの選択肢が増え、彼女らの人生をより豊かに彩る契機となっているのであればこれ以上嬉しいことはありません。JICAによるスポーツイベントをきっかけに多岐に渡る分野で活躍できる人が一人でも増えるよう、JICAはこれからもスポーツを通した難民・ホストコミュニティ支援に取り組んでいきます。

プロサッカー選手による指導を受ける参加者

プロサッカー選手による指導を受ける参加者

メディアによる取材を受けるUNHCR職員

メディアによる取材を受けるUNHCR職員

チームの垣根を越えて応援し合う選手たち

チームの垣根を越えて応援し合う選手たち

全参加者に対して生理用品、石鹸が参加賞として配布された

全参加者に対して生理用品、石鹸が参加賞として配布された

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