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若者が紡ぐ、スポーツと友情の絆 ―女子サッカー大会と日・ウガンダ交流会―

2025.12.05

若者が紡ぐ、スポーツと友情の絆 ―女子サッカー大会と日・ウガンダ交流会―

■女子サッカートーナメント「TICAD CUP 2025」をウガンダで開催

2025年9月4日~9月6日、JICAウガンダ事務所はウガンダ首相府難民局、UNHCR、ウガンダサッカー連盟(FUFA)、ソルティーロ・ブライトスターズFC(※)と協力し、女子サッカートーナメント「TICAD CUP 2025」 を開催しました。
(※本田圭佑氏が主要株主の一人として関与しているウガンダのプロサッカーチーム)

出場チームは過去最多の8チーム、うち6チームは難民居住区とホストコミュニティから選抜されたメンバーによる混合チームで、年齢も言葉も背景も異なる選手たちが、同じフィールドでひとつのボールを追いました。そこには、勝敗を超えた笑顔と友情、そして「共に生きる」という希望が生まれていました。

オープニングセレモニー時の写真

各チームのキャプテンの集合写真(多くのチームが過去に日本のサッカーチームから寄贈されたユニフォームを着用)

フィールドで輝く女子選手たちの姿は、早期結婚や教育機会の制限といった現実を乗り越え、「夢を追う若者」として、多くの観客に勇気を与えました。

この大会には、過去の経験を糧に努力を重ねてきた難民選手の姿もありました。彼女はこう語ります。

2023年に開催されたTICAD CUPに初めて参加しました。当時は他の多くのチームが披露するサッカーのクオリティに、私やチームは到底及びませんでした。しかし、その大会で「何をすべきか」という多くの教訓を得たのです。戦術的にも技術的にも向上するために、これまで数えきれないほどの練習を重ねてきました。幸いなことに、私たちはまだ若く、意欲的で、学ぶ力に恵まれています。~

彼女の言葉が示すように、TICAD CUPは単なる大会ではなく、努力を重ねる若者たちの「成長の舞台」でもあります。サッカーを通じて得られた経験が、彼女たちの自信と希望を育て、コミュニティに前向きなエネルギーを生み出しています。



また、会場では、海外協力隊の有志による日本文化紹介ブースも設けられ、ソーラン節の披露や浴衣の試着、書道の他、隊員活動の一環として取り組まれている布ナプキンの紹介が行われました。サッカーと文化交流という2つのフィールドが、人々の心を結びつけた瞬間でした。

協力隊によるソーラン節披露

協力隊によるブース出展(布ナプキンを紹介)

閉会式では、彼女たちの堂々としたプレーとチームワークに、多くの観客がスタンディングオベーションを送りました。それは出場した全ての選手の活躍を称える拍手であると同時に、ウガンダの女性・若者たち、そして未来への拍手でもありました。

優勝チーム(日本サッカー協会(JFA)から寄贈されたユニフォーム着用)

■「心でつながる交流」~日本とウガンダの学校を結ぶオンライン会

2025年9月25日、JICAウガンダ事務所は青年海外協力隊事務局、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)、マイナビ仙台、宮城県石巻市立桜坂高等学校、そしてウガンダの小学校と共に、オンライン交流会を開催しました。

この交流のきっかけとなったのは、桜坂高等学校の女子生徒たちが有志で制作した手作りの布ナプキンでした。
海外協力隊員が活動するウガンダの小学校に届けられたこの贈り物には、「世界のどこかで同じ女性として支え合いたい」という思いが込められていました。

オンライン交流会では、高校生たちが制作の経緯や活動に込めた想いを語り、ウガンダの小学生たちが笑顔で感謝の言葉を伝えました。
画面越しのやりとりながら、互いの表情には驚きと喜び、そして深い共感があふれていました。

オンライン交流会時の様子

石巻市立桜坂高等学校から寄贈された手作り布ナプキンとウガンダ小学生への想いが込められた手書きの手紙

参加したウガンダの小学校の先生からは、こんな言葉が寄せられました。

~手作りの布ナプキンを寄贈していただいたことはもちろん大変うれしいことですが、それ以上に、日本でどのような経緯を経てここまで届けられたのかを知ることができたことが印象的でした。
日本の高校生たちが何度も試行錯誤を重ねて布ナプキンを完成させたこと、そしてマイナビ仙台の選手や日本の高校生がウガンダの月経管理の課題について真剣に考え、行動してくれたことを知り、心から感謝しています。~

さらに、マイナビ仙台からはJICAウガンダ事務所に公式ユニフォーム2チーム分の寄贈が行われました。
当日は同チームに所属する女子プロサッカー選手も参加し、プロとしての日々の努力や社会貢献活動への想いを語りました。
その言葉に、ウガンダの小学生たちは真剣に耳を傾け、画面の向こうからも大きな拍手が響きました。

ウガンダ小学生が石巻市立桜坂高等学校からの手書きの手紙を読み上げる様子

マイナビ仙台から寄贈されたユニフォーム

■スポーツが生むつながり、そして未来へ

TICAD CUP 2025とオンライン交流会。
異なる背景を持つ二つの活動には、「スポーツを通じて人をつなぐ」という共通の想いが流れています。

サッカーは、言葉や文化、立場の違いを超えて、誰もが笑顔でつながることのできる力を持っています。
それは勝敗を超えた、人と人との理解・共感・尊敬を生み出す「世界共通のコミュニケーションツール」でもあります。

ウガンダの大地でボールを追う少女たちも、日本の教室で布を縫う高校生たちも、それぞれの場所で、「誰かのために行動する」という同じ想いを胸に抱いています。
その想いこそが、国際協力の原点であり、スポーツが生み出す最大の価値だと言えます。

JICAウガンダ事務所はこれからも、平和構築やスポーツ等を通じて、一人ひとりが自分らしく輝ける社会を目指して活動を続けていきます。

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