jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

所長あいさつ

ウガンダは東アフリカに位置する内陸国で、ケニア、タンザニア、南スーダン、ルワンダ、コンゴ民主共和国に隣接しています。近年では南スーダン及びコンゴ民主共和国からの難民の流入が続いており、150万人を超える難民を受け入れている、アフリカで最も多く難民を受け入れている国です。難民の受け入れ、難民の就労や移動の自由を認めるなど難民に対して寛容なウガンダ政府のOpen Door Policyと呼ばれる政策は国際社会から高く評価されており、JICAも難民とウガンダのホストコミュニティとの双方に裨益するような開発協力を行っています。

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ウガンダは、日本の本州ほどの面積(24.1万平方キロメートル)に人口4,840万人(2022年、UN)を抱えており、一人あたりGDPは858ドル(2022年、世界銀行・IMF)の国です。かつて、イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルはウガンダを「アフリカの真珠」と呼びましたが、豊かな美しい自然を有する、観光でも魅力のある国です。人口成長率は年3.2%(2021年、世界銀行)と世界で2番目に高く、10年間で1,000万人以上の人口増加が起こっています。人口の中央年齢は15.7歳であり、15歳以下が全体人口の50.3%を占める世界で2番目に若年層の割合が高い国になっています。経済状況は、GDP成長率は2001年以降ほぼ継続して5%以上を維持していましたが、コロナ禍によって3~4%程度への落ち込みが見られました。2022/2023年は5.5%の見込みで、前年度の4.7%から回復する見込みです。しかしながら、一日あたり2.15ドル以下で生活する人の割合は42.2%(2019年、世界銀行)であるなど貧困層も多く、経済成長を通じた貧困削減が求められています。主要産業は、肥沃な土壌と恵まれた水資源によって高いポテンシャルを誇る農業であり、雇用の約8割は農業が占めています。増え続ける若年層の雇用機会の確保が課題の一つであり、ICT(情報通信)産業などでの雇用機会の拡大に取り組んでいるほか、近年、石油やレアメタルなどの鉱物資源開発が進められており、2025年には石油生産が開始されることが注目されています。

JICAウガンダ事務所は2001年のボランティア調整員事務所開設に端を発しており、2006年から事務所化されました。ウガンダの国家開発計画に合致するよう(1)経済成長を実現するための環境整備(運輸・交通網改善/電力供給強化/職業訓練教育強化)、(2)農村開発を通じた所得向上(コメ振興/畜産振興)、(3)生活環境整備(保健サービス強化/地方給水整備)、(4)北部地域の社会的安定(北部地域平和構築・開発支援/難民・ホストコミュニティ支援)の4つの重点分野で支援を行っています。また、2001年7月の派遣開始以降、これまでに累計800人の海外協力隊員を派遣しており、2021年には海外協力隊派遣20周年を迎えました。息の長い協力を継続していることが特徴の一つであり、50年間にわたる協力を行ったナカワ職業訓練校、2004年から継続しているコメ振興、2009年から継続している北部地域の平和構築・開発支援などがあります。最近では、2018年に完成したナイル架橋建設事業や、現在工事中のカンパラ立体交差建設・道路改良事業などの大型インフラの円借款事業が注目を集めていますが、4つの重点分野のそれぞれ、および重点分野以外においても特徴ある協力を行って成果を挙げていますので、ご関心ある方は、是非、当事務所のウェブサイトや、Twitter、Facebookをご覧いただければ幸いです。

2021年12月には、ウガンダ国会でJICAによるこれまでの国際協力を称える国会決議が採択されました。ウガンダ国会においてこのような決議が採択されたのは初めてであり、「人づくり」「相互の尊重」「品質を大事にする協力」「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」ことや、条件を付けたりせずに見返りを求めない協力を行っていることなどがJICAの協力の特徴として評価されました。JICAが「信頼で世界をつなぐ」協力をしてきたこと、JICAが大切にしてきた協力の進め方が評価されたものであり、大変に栄誉あることとして受け止めています。

ウガンダの抱える開発課題は様々ですが、これからもウガンダに寄り添い、分野のバランスの取れた協力を継続しつつ、従来の重点分野における新たな手法や課題への対応や、ICT(情報通信技術)産業への協力や起業家支援などの新たなニーズへの対応も進めて参る所存です。20周年を迎えた重要な事業であるボランティア事業もさらに進めて参ります。

是非、日本の皆様にも、この自然環境に恵まれ、若く、成長ポテンシャルのあるウガンダにご関心を持っていただき、ご意見を当事務所までお寄せいただければ幸いに存じます。

2023年2月
JICAウガンダ事務所長
井上 陽一