所長あいさつ

Alii(パラオ語でこんにちは)

JICAパラオ事務所長の小林龍太郎(こばやしりゅうたろう)です。2021年3月に着任して以来、早1年半が過ぎようとしています。

着任当初はパラオでもCOVID19によるパンデミックの渦中にあり、到着後2週間に及ぶ強制隔離等、厳しい行動制限を余儀なくされました。ただし、そのような中でもパラオ政府はワクチン接種を精力的に進め、パラオ-グアム間の定期フライトを再開させるなど、人の往来を復活させる取り組みを進めてきました。2022年の初めには初の市中感染が起こり、一気にパラオ全土に感染が拡大しましたが、4月にはOur Oceanといった国際会合を対面形式で行うなど、現在もポストパンデミックとして、経済の復興に一貫して取り組んでいます。

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こうしたパラオ政府の方針に連動し、この1年半、JICAパラオ事務所でも活動の再開・拡大に努めてまいりました。パンデミックにより1年以上中断していたJICAボランティアの派遣を2021年10月には再開、今年2022年の内に、派遣数は、パンデミック前を上回る20名まで届く予定です。また、これまでリモートでしか進められなかった技術協力プロジェクトや草の根技術協力プロジェクトについても渡航を伴う形で順次再開し、現時点で6案件が立ち上がり、それぞれ精力的に活動が進められています。さらには、今後の無償資金協力事業に向けて、各種調査業務も進められており、毎月数件の訪問ミッションが日本から派遣されています。

これらの事業を支えるため、事務所機能の強化も進めております。2021年より事務所のステータスが「支所」から「事務所」に代わり、2022年5月には、オフィスの改修・増床を終え、新オフィスのお披露目を行いました。また、日本人・パラオ人スタッフの増員も進めており、支所当時4名であったスタッフは現在10名まで増えています。

今年は1997年のJICAパラオの拠点創設から数えて25周年の節目に当たります。この記念すべき年に、教育、保健医療、農・水産業、橋梁、上水、電力、廃棄物管理と多岐に渡る分野で、過去最大規模のオペレーションを展開しています。これらは、パラオ側の経済復興に対する積極的な姿勢と共に、日本がパラオ外交をいかに重視しているかということを表しています。

世界を俯瞰すると、パンデミックによる影響は依然続いている他、ウクライナ情勢等、人々の平和と安心を脅かす紛争も発生しています。そうした中で、最大の親日国の一つであるパラオと日本が一層の関係を深めていくこと、また、共に発展を目指していくことには大きな意味があります。こうした取り組みの一助となるべく、これからも当地パラオでのJICA事業を益々発展させていく所存です。

2022年7月
JICAパラオ事務所長 小林 龍太郎