所長あいさつ

ペルー共和国は南アメリカ大陸の太平洋側に面し、沙漠が広がる沿岸域のコスタ、アンデス山脈が連なるシエラ、アマゾンが広がるセルバの3つの地域に分けられ、様々な気候が存在し、豊かな自然環境を有しています。また、マチュピチュ遺跡などで知られるインカ文明など、長い歴史の中で、さまざまな文明を育んできました。

このような豊かな観光資源で知られるペルーですが、日本とのつながりは深く、中南米で最初に外交関係を樹立(1873年)した国であり、2023年には日本ペルー外交150周年を迎えます。また、世界で3番目に日系移住者の方が多い(約10万人)国でもあります。現在、これら日系人の方は、ペルー社会の発展において、さまざまな方面でご貢献され、また、日本社会との架け橋として重要な役割を果たされています。

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ペルーへの政府開発援助は、1958年に最初の技術研修員を日本で受け入れたのをはじめとして、技術協力、有償資金協力、無償資金協力、ボランティア事業など、さまざまな協力をおこなって来ています。近年は、安定した経済成長を維持し、一定の発展をしてきたものの、依然、都市部と地方部での貧富の格差が大きく、格差是正が課題となっています。また、近年高まる気候変動の影響や、地震等の自然災害リスク軽減等の対策も課題です。
日本政府はペルーに対する国別開発協力方針(2017年9月)において、援助の基本方針として「持続的経済発展への貢献」を掲げ、(1)経済社会インフラの整備と格差是正、(2)環境対策、(3)防災対策、という3つの重点分野を定めました。これらの分野への協力により、ペルーの持続的な経済発展に貢献し、ペルーと日本とのつながりの深化にも寄与してきました。

今後も引き続き、これらの課題に対し、民間企業やNGO/市民社会組織、地方自治体、大学、国際機関など、開発の担い手の皆様と協働して取り組み、より強靭な社会を作っていきます。
また、ペルーの日系社会に対しても、高齢者福祉、人材育成分野等での協力を継続するとともに、これからも、日系社会と連携してペルーの社会経済開発の貢献に努めてまいりたいと思っています。

ぜひ、みなさまからのご意見/ご提案を頂戴できますと幸いに存じます。

JICAペルー事務所長
西村 貴志