所長あいさつ

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皆様、この度はJICAペルー事務所のウェブサイトをご覧頂き、誠に有難うございます。

さて、ペルーは、コスタ(海岸地域)、シエラ(山岳地域)、セルバ(熱帯雨林地域)という全く様相を異にする多様性に富んだ自然を有し、インカ文明に代表される長い歴史と文化を育んできた国です。そのペルーにおいて、JICAは1958年に最初のペルー人研修員を日本で受け入れて以来、60年に亘り、技術協力、有償資金協力、無償資金協力、ボランティア派遣等様々な協力を行ってきています。また、2008年、旧JICAと旧JBIC海外経済協力部門が統合されて新JICAが誕生したことで、それら様々な協力がここペルーで一元的に対応できる、所謂ワンストップ・サービスの業務が実現しました。

先ず日本の対ペルー支援についてですが、日本政府はペルーに対する国別開発協力方針(2017年9月)において、援助の基本方針として「持続的経済発展への貢献」を掲げ、(1)経済社会インフラの整備と格差是正、(2)環境対策、(3)防災対策、という3つの重点分野を定めました。JICAは、「信頼で世界をつなぐ」というビジョンの下、日本政府の方針に基づいて、ここペルーで様々な活動を展開しています。

格差是正への対応においては、貧困層の割合が高い山岳地域において、灌漑インフラの整備とともに、農業分野の技術協力を行い、貧困層の所得向上を支援してきています。北部カハマルカ州では、ペルー特産の紫とうもろこしやエンドウ豆の品種改良や生産性向上のための技術協力を実施し、協力が終了した現在も農民グループが自主的に活動を拡大しています。乾燥した気候の沿岸部においては、日本の中小企業の技術を活用した乾燥地農業技術の導入にも取り組んでいます。

次なる支援の柱は防災です。ペルーは日本と同様に地震国です。JICAは地震・津波対策やエルニーニョ被害対応など、40年以上に渡ってペルーの災害対策分野を支援してきています。中でも特徴的なものとして、国内外で高い評価を得ている国立工科大学内の日本ペルー地震防災センター(CISMID)(Centro Peruano Japones de Investigaciones Sismicas y Mitigacion de Desastres)の設立支援から地震防災に係る研究や技術協力、周辺諸国への普及、そして地震・津波の被害軽減のために日本側大学・研究機関とCISMIDとの共同研究を支援してきました。この他、沿岸部の洪水リスクを軽減するための河川改修を行う資金協力、更には万が一大規模災害が発生した際に公共財の緊急復興に必要な予算を措置するための災害対応スタンドバイ借款など、防災に関する多面的な協力を行っています。

そして環境対策への取り組みです。具体的な活動の事例としては、上下水道分野における協力が挙げられます。水道インフラの整備はまさに国民にとってのライフラインの確保であり、JICAはこれまでリマ首都圏、ピウラ州、カハマルカ州、ロレト州、クスコ州等の上下水道施設整備を支援してきています。また、これらの施設整備と合わせて、効果的・効率的な水道事業運営のため、リマ首都圏で無収水率を低減するため水道公社の管理能力向上を目的とした技術協力を実施したり、アマゾン地域の先住民居住地域において水・衛生施設の整備も行っています。さらには日本の中小企業の技術を活用した下水処理汚泥の肥料・燃料化にも取り組んでいます。全国的にはまだまだ課題がありますが、ペルーの水道事業の円滑な運営、それによる安定した国民生活の実現に向けて、ハード、ソフトの両面で水道分野の総合的な支援を展開しています。また、2014年12月にリマで国連の気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)が開催されましたが、広大なアマゾンの熱帯雨林を有するここペルーで、JICAは地球温暖化防止への取り組みを強力に支援しています。ペルー環境省及び農業灌漑省とともに、衛星画像等を活用した森林保全、森林減少・劣化に係る早期警戒システムの構築に係る技術協力、ボランティアを通じた環境教育によるコミュニティレベルでの協力など、人類が抱えた困難な課題に対して果敢に協力してきています。
また、ペルーにおいては1899年からの日本人移住の歴史があり、10万人以上の日系人の方々が多方面で活躍されています。JICAは日系社会に対する高齢者福祉、人材育成分野での協力を継続するとともに、日系社会と連携してペルーの社会経済開発に貢献するともに、日本企業とのパートナーシップ強化の支援を進めていきます。

南米における日本からの移住で最も古い歴史を持つペルーで、更なる二国間関係の強化を期待しつつ、今後の支援のあり方を考えていく所存です。皆様からの貴重なご意見やご要望をお待ちしています。

JICAペルー事務所長
上野 和彦