jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

所長あいさつ

両国の深く永続的な友好関係に敬意を表しつつ、2025年3月よりJICAフィリピン事務所の代表を拝命いたしました。フィリピン事務所での勤務は2008年以来2度目となり、今回再びこの地に戻ってこられたことを大変光栄に思います。これまでの相互の信頼と協力を基に新たな決意をもって、この任務に取り組む所存です

気候変動や災害リスク、急速な都市化、地政学的変動など、フィリピンやこの地域を取り巻く課題はますます複雑化しており、国際協力の重要性はこれまで以上に高まっています。道のりは必ずしも平坦ではありませんが、フィリピンと日本の友好関係は、前回この地で勤務していた頃と比べても、より一層深まっていることを強く実感しています。

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JICAは長年にわたり、資金協力や技術協力にとどまらず、多様な政府開発援助(ODA)を通じてフィリピンとともに歩んできました。私たちの協力の根幹にあるのは、人々の暮らしをより良くし、地域社会に力を与え、実践的で包括的、かつ持続可能なソリューションを提供するということです。経済インフラ整備から社会的課題解決、さらにはミンダナオの平和構築支援まで、私たちの取り組みは日本が長年掲げてきた持続的な発展へのコミットメントの証でもあります。

この友情を特別なものにしているのは、私たちがともに考え、変化を共に創り上げようとする協働の精神です。

私たちはフィリピンの「バヤニハン(助け合いの精神)」を自ら取り入れ、あらゆる取り組みの中でより深い連携を促しています。また政府関係機関だけでなく、民間セクターや現地の有識者との連携、さらには学術界や市民社会との協力を強化する「OPEN JICA」のアプローチを進めています。

より幅広い協力を通じて、両国の信頼関係をさらに強化し、レジリエンスを高め、質の高い成長を実現し、「誰一人取り残さない社会」を目指す取り組みを力強く後押ししていきます。

JICAの使命の根底には、人と人、心と心をつなぐことへの強い思いがあります。私たちの仕事に真の意味や深みを与えてくれるのは、人と人とのつながりに他なりません。これまで築いてきた歴史に敬意を払いながらも、私たちは信頼と共感、そして共通の目的を胸に、これからもともに新しい未来を切り拓いてまいります。

2025年3月 於マニラ
JICAフィリピン事務所長
馬場 隆(ばば・たかし)