モルディブ向けの緑の気候基金(GCF)連携事業の承認:気候変動に対して強靭で安全な島づくりを支援

【SDGsロゴ】1住み続けられるまちづくりを

【SDGsロゴ】1気候変動に具体的な対策を

2021年7月2日

マーメンドゥー島の海岸

国際協力機構(JICA)が「緑の気候基金」(Green Climate Fund: GCF)(*1)に申請したモルディブ「気候変動に強靭で安全な島づくりプロジェクト」が、7月1日、オンラインで開催中のGCF第29回理事会において承認されました。

本事業は、モルディブにおいて、気候変動の影響を考慮した海岸保全・防護対策を促進するための体制構築に取り組み、気候変動に対する国土の強靭化および安全性向上を目指すもので、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11、13に貢献し、また、災害リスク及び損失を大幅に削減することを目指す「仙台防災枠組2015~2030」(*2)の方針に基づいた取り組みです。

モルディブは、約1,200の島々から構成されるインド洋の島嶼国であり、標高が平均水面から1~2m程度である上、土地も狭く、多くの居住島で海岸浸食が顕在化しています。また、気候変動に伴って、海面上昇や海岸に到達する波力が増大し、今後さらに海岸浸食が加速すると考えられ、住居やインフラへの影響に加え、沿岸域の生態系や水資源への影響、水産業へのダメージも危惧されています。

JICAはこれまで、モルディブの人々の生活をサイクロン、高潮、津波などの災害から守るため、マレ島の防波堤建設等の護岸整備を実施してきたほか、災害時にいち早く情報を伝えるための緊急警報放送システム整備等を支援しています。

本事業では、リーフや海岸の保全を考慮しつつ、沿岸災害に対する強靭化を図るための総合沿岸域管理計画を策定するほか、あわせて約9,000人が住む5つの島において、地域主導型の総合沿岸域管理計画の構築や海岸保全・防護のための対策を行います。また、災害時の情報伝達システムの構築や、気候変動の影響を観測し、適応策を講じるために必要な波浪、海浜、サンゴ礁及び土地利用の長期的モニタリング体制の整備を通じて関係機関職員等の能力強化を図ります。

今後もJICAは、開発途上国における災害や気候変動に強靭な社会づくりを支援していきます。

(*1)緑の気候基金(Green Climate Fund: GCF)は、2010年に設立された、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の資金メカニズム運営機関です。GCFは開発途上国において温室効果ガス削減(緩和策)と気候変動の影響への対処(適応策)を支援しています。

(*2)「仙台防災枠組2015-2030」は、2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で「災害リスク及び損失を大幅に削減する」ことを目指して採択されました。4つの優先行動と7つのグローバルターゲットを設け、各国の具体的な取り組み状況をモニタリングしています。

案件の詳細は以下のとおりです。

【案件概要】
国名:モルディブ共和国
案件名:気候変動に強靭で安全な島づくりプロジェクト
実施予定期間:78か月
実施機関:環境・気候変動・技術省
対象地域: モルディブ国全土
具体的事業内容:
①総合沿岸域管理計画の構築 
②海岸保全/防護対策の実施 
③災害時の情報伝達システムの整備 
④気候変動に関連する基礎情報・データの収集及び共有システムの整備