バングラデシュ向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:地方自治体の基盤整備を通して行政サービス向上に貢献

【SDGsロゴ】1住み続けられるまちづくりを

【SDGsロゴ】1平和と公正をすべての人に

2021年12月23日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、12月22日、ダッカにて、バングラデシュ人民共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「都市機能強化プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

バングラデシュでは都市部の人口増加が急激に進み、交通渋滞や環境の悪化などの課題が顕在化しており、行政は各都市の実態に合わせてこれらの課題に対応する必要があります。一方、各自治体がより良い行政サービスの提供を通じて都市化の課題を解決するには、予算計画の策定・執行や事業のレビューなど、自治体内の業務プロセスの改善が必要で、自治体の行政能力の強化と組織基盤の整備が喫緊の課題となっています。

JICAはこれまで、「行政能力向上プログラム」のもと、円借款や技術協力プロジェクトなどを通して、バングラデシュの自治体(注1)の能力強化に協力してきました。特に、中核都市(注2)に対しては、技術協力プロジェクト「中核都市機能強化プロジェクト」及び円借款「包括的中核都市行政強化事業」を実施し、複数の中核都市を対象に中長期的なガバナンス向上戦略の策定や、基礎的な行財政能力の強化を支援しました。その結果、対象の各自治体では関連法令で定められているプロセスの適切な実施や、PDCAに基づいた行政の改善など、自治体としての基礎能力が高まりました。

本案件は、支援対象を国内すべての中核都市に広げ、行政機能の向上に必要な施策を取りまとめたガバナンス向上戦略の実施体制や、地方行政を担う人材の育成体制の確立を通して、行政能力強化のための基盤整備を図ります。先行して実施した協力の成果を踏まえ、地方行政を担当する中央政府機関の巻き込みや市民参加・市民の視点を取り入れた行政の実現に取り組みます。中核都市の行政サービスの改善及び市民の満足度向上に寄与するものであり、SDGs(持続可能な開発目標)のゴール11(住み続けられるまちづくりを)及び16(平和と公正をすべての人に)に貢献します。

(注1)バングラデシュの自治体には、都市部に中核都市と地方都市(ポルショバ)、農村部に郡(ウパジラ)とユニオンが存在する。
(注2)中核都市:バングラデシュの行政単位のうち、一定程度中央から独立して歳入権限が認められ、域内の多くの行政サービスを提供する責任を負う自治体を指す。行政サービスを提供する行政単位の中で最も規模が大きく、全部で12自治体ある。

案件の詳細は以下の通りです。

【案件基礎情報】
国名 バングラデシュ人民共和国
案件名 都市機能強化プロジェクト
実施予定期間 36ヵ月
実施機関 地方行政・農村開発・協同組合省 地方行政総局
対象地域 全中核都市(12自治体)
具体的事業内容(予定) ・地方行政総局及び中核都市におけるガバナンス向上戦略の実施、モニタリング及びレポーティング体制の整備
・地方行政総局の研修調整能力の強化
・中核都市内での地方自治に関する研修・人材育成体制の整備