モルドバへ保健医療分野の専門家派遣:医療機材の維持管理体制の整備に向けて~ウクライナ避難民の支援にも貢献~

【SDGsロゴ】すべての人に健康と福祉を

2022年7月22日

専門家(写真前列右から1人目)とモルドバ保健省職員

専門家によるモルドバ保健省への活動計画の説明及び意見交換の様子

国際協力機構(JICA)は、7月10日より、ウクライナの隣国モルドバ共和国に技術協力「医療機材維持管理能力強化」による専門家(株式会社フジタプランニングの梅宮洋亮氏)の派遣を開始しました。

JICAは1998年より、モルドバに対して無償資金協力及び有償資金協力にて3度の医療機材整備を行った他、効率的な医療機材管理体制の構築を目指し、技術協力「医療機材維持管理改善プロジェクト」を実施しました。これらの協力により、医療機材の操作・維持管理を行うバイオメディカルエンジニアという職種がモルドバでも新たに誕生した他、首都の中核病院を中心に「医療機材管理部門」の設置が進められてきました。

一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、様々な国際協力機関からCOVID-19に対処するための医療機材が供与されたことで、地方部も含めた医療機材の維持管理体制を強化する必要性が高まりました。さらに、ウクライナ避難民の流入により同国の保健サービスがひっ迫し、特に医療機材やスペアパーツ等の不足が深刻化している状況です。

このような状況を踏まえ、JICAは今般の第一次派遣に続き、2024年までに計8回程度の専門家派遣を行い、モルドバ保健省及びモルドバ工科大学医療工学センター、首都における5つの中核病院との連携を通じて医療機材管理ガイドラインの整備やバイオメディカルエンジニア等の継続研修プログラムの構築を支援します。これにより全国の医療機材の維持管理能力の強化を図り、もって医療サービスの質と効率性を改善させることを目指しています。さらに、今年度内を目途に同国の中核病院を中心に、当該専門家の活動に関連する医療機材やスペアパーツを調達することで、医療機材不足への迅速な対応を図ります。SDGs(持続可能な開発目標)ゴール3(すべての人に健康と福祉を)に貢献します。

モルドバ保健省からは、本専門家派遣を通じたウクライナ避難民への医療サービス提供に資する追加医療機材への謝意が示されると同時に、医療サービスの質強化に向け、JICA、保健省、モルドバ工科大学が協働で、バイオメディカルエンジニア等への定期研修プログラムの策定・パイロットトレーニング実施・制度化を実現することへの期待が寄せられています。

JICAはこれまでのモルドバへの保健医療分野の協力を通じて培ったネットワークを活用し、モルドバへ最大限の協力を行っていきます。