初の借款事業が東ティモールの東西を結ぶ 国道1号線が開通

2022年8月29日

テープカットの様子

2022年8月26日、東ティモール民主共和国の首都ディリにおいて、「国道1号線整備事業」(有償資金協力事業)の開通式が開催されました。式典には、東ティモール側からはジョアキム・アマラル経済調整担当大臣、ルイ・ゴメス財務大臣、アベル・ピレス公共事業大臣などが、日本側からは杵渕正巳駐東ティモール日本国大使、後藤光JICA東ティモール事務所長が出席しました。式典では、アベル・ピレス公共事業大臣より、「国道1号線が東ティモールの発展に寄与することを期待。20年にわたる日本の協力に感謝する」とのメッセージが述べられました。

東ティモールの交通手段は、限られた区間の海上航路があるほかは、道路輸送が唯一となっていますが、急峻な山岳地形や脆弱な地質条件のため土砂災害が多く、雨期には道路が遮断されて立ち往生を強いられるほど脆弱です。2011年7月に発表された同国の戦略開発計画 (2011-2030) では、年間を通じて走行可能な舗装道路の整備および全県の道路網構築が最重要課題とされており、国道1号線整備事業は、同計画において国家最優先事業に位置付けられました。

今回開通した国道1号線は、JICAとアジア開発銀行が協力し、同国の初の借款事業として首都ディリと第二の都市バウカウ間(約116キロ)の道路を改修したものです。該当区間は同国で最も交通量の多い幹線道路でしたが、事業実施前は道路幅が4mしかなく、舗装されていない区間も多くあり、ディリ-バウカウ間は平均して5時間かかりました。本事業では、新たに策定された道路基準に沿った道路舗装と6m及び7mへの拡幅、排水施設や道路斜面の防護壁の整備などを実施し、ディリ-バウカウ間の移動は3時間以下まで短縮されました。

日本と東ティモール双方の関係者の着実な取り組みによって完成した国道1号線は、東ティモールの安定的な成長と発展に重要な役割を果たしていきます。今後もJICAは、東ティモールの質の高い成長の実現に向け協力を推進していきます。

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