ベトナム「ビンズオン省廃棄物発電・処理事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):環境汚染リスクを低減し循環型経済の実現に寄与

【SDGsロゴ】エネルギーをみんなに そしてクリーンに

【SDGsロゴ】1住み続けられるまちづくりを

【SDGsロゴ】1つくる責任 つかう責任

2022年12月9日

廃棄物処理施設

廃棄物処理施設

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は12月9日ベトナム社会主義共和国のBinh Duong Water Environment Joint Stock Company(BIWASE)に対し、最大700万米ドルを供与する融資
契約を締結しました。本融資は、2019年11月に日本政府が発表した「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」(*1)に資するもので、アジア開発銀行(ADB)との協調融資により実施されます。また、ADBの融資には、JICAが資金を拠出する「アジアインフラパートナーシップ信託基金 (Leading Asia’s Private Infrastructure Fund:LEAP)」の資金600万米ドルが活用されます。

ベトナムでは近年の急速な都市化と工業化により、都市部における廃棄物が急速に増加しています。焼却施設やコンポスト設備などの中間処理施設が不足している状況で、適切な廃棄物管理ができず、ごみの埋立地不足や不法投棄等による大気汚染・土壌汚染等の公衆衛生上の課題を引き起こしています。本事業の対象となるビンズオン省は大都市ホーチミン市に隣接し、ベトナム国内で最も人口増加率の高い省であるとともに、日本企業も多く進出する国内における主要産業拠点で、同省の一日当たりの一般廃棄物量はホーチミン市、ハノイ市に次ぐ2, 661トンに上っています。同省では域内の廃棄物処理需要の増加を背景に、既往の廃棄物処理施設の増強が必要な状況にあります。

また、ウクライナ情勢を受けた肥料価格の高騰が続いており、安定的に肥料を農家に供給するニーズが高まっています。本事業では廃棄物を堆肥化するプラントを導入し、日量840トンの廃棄物を堆肥化する設備投資を支援するとともに、日量200トン規模の処理が可能な廃棄物発電焼却施設の建設に対して融資を行うことで、域内の都市環境改善及び循環型経済の実現に寄与することを目的としており、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール 7(エネルギー)、11(持続可能な都市)、12(持続可能な消費と生産)などに貢献します。また本事業では、堆肥化による廃棄物のリサイクルを通じて温暖化ガス排出削減が見込まれます。

融資先のBIWASEは1975年に設立し、2016年に民営化した上水道・廃棄物処理事業者で、ビンズオン省内で一般廃棄物処理を行っている唯一の廃棄物処理事業者です。またJFEエンジニアリング株式会社が3.87% の株式を保有しています。

本融資は海外投融資「ビンズオン省上水道拡張事業」(貸付契約2020年)(*2)に次いでBIWASEに対する2件目の海外投融資による融資契約となります。また、これまで円借款「南部ビンズオン省水環境改善事業」(貸付契約2007年)、「南部ビンズオン省水環境改善事業(フェーズ2)」(貸付契約2012年)において、ビンズオン省での下水道の普及及び下水処理場能力の向上を支援しており、BIWASEは円借款実施機関として上記事業を実施しております。JICAはBIWASEのような長年のパートナーと築いた信頼関係に基づき、ベトナムの長期的な発展を今後も支援していきます。