エクアドル「環境配慮型産業支援事業」に対する融資契約の調印(海外投融資):環境配慮型産業および中小零細事業者の金融アクセス改善に貢献

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2023年3月29日

Produbanco融資先である女性経営の酪農牧場。同牧場では牛糞から無農薬肥料を製造しており、同製造過程で生じるバイオガスで牧場の電力を補う持続可能な経営モデルの確立を目指している。

調印式の様子

国際協力機構(JICA)は、3月27日、エクアドル共和国のBanco de la Producción S.A. Produbanco(Produbanco)との間で、環境配慮型産業及び中小零細事業者(MSME)の金融アクセスを改善するため、5,000万米ドルを上限とする融資契約に調印しました。本事業は国際金融公社(IFC)との協調融資として実施します。

 エクアドルの経済構造は石油産業に依存しているため、エクアドル政府は石油関連産業に次ぐ主要輸出産業である農業や水産業の育成・強化に取り組んでいます。他方、農業や水産業の環境負荷は高く、環境に配慮した産業の発展が同国にとって重要な課題となっています。また同国のMSMEの資金ギャップは周辺国と比較して大きく、資金需要に十分に対応できていません。金融サービスへのアクセスの制約が同国の広範な貧困・低所得の要因の1つとなっており、MSMEの振興も重要な課題です。

 Produbancoはエクアドル国内で初めてサステナブルボンドを発行するなど環境配慮型産業分野における先駆者であり、環境負荷を下げるためのコンサルテーションを顧客に提供しています。また、顧客との対話を重視したMSME向け融資商品を提供しており、MSMEセクターの発展にとって重要なパートナーです。本事業でJICAが行う融資はProdubancoを通じてエクアドル全土の環境に配慮した産業事業者向け融資に50%、MSME向け融資に40%、2Xチャレンジ水準(注)を満たす女性が経営するMSME向け融資に10%が充てられます。

本事業は、エクアドルの環境配慮型産業及びMSMEの金融アクセスを改善し、もって環境に配慮した産業の発展に寄与するもので、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール8(働きがいも経済成長も)、14(海の豊かさを守ろう)、15(陸の豊かさも守ろう)に貢献します。 

(注)「2X Challenge: Financing for Women(2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス)」:2018年6月のG7にてJICAを含む各国の開発金融機関が採択したイニシアティブ。女性の経済的エンパワーメントに資する案件に対して2020年までに30億米ドルの資金動員を図ることを掲げ、その倍以上である70億米ドルが動員されました。2021年には同取り組みを更に拡大すべく、2021年から22年の2年間で150億米ドルの資金動員を図る目標を設定しました。2Xは女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示しています。
 この中で、2Xチャレンジ水準とは、女性が51%以上の経営権を持つ、女性によって創設されたなどといった2Xチャレンジの中で定められた水準を指します。