田中理事長がパプアニューギニアを訪問

2023.04.28

田中明彦JICA理事長は、4月17日から20日にかけてパプアニューギニア(PNG)を訪れ、JICAの協力事業を視察し、マラぺ首相やトカチェンコ外務大臣を始めとする政府要人と会談しました。

PNGは太平洋島嶼国で最大の国土面積を有し、金や銅などの鉱物資源、石油や天然ガスなどの天然資源にも恵まれた地域の大国とされています。一方で、伝統的な土地所有の考え方から国有地が限られており、運輸や電力といった基礎インフラの開発の遅れが経済発展を妨げ、貧困の一因ともなっています。また治安の向上も課題であり、秩序ある開発と成長が求められています。

マラペ首相及びトカチェンコ外務大臣との会談で田中理事長は、日本とPNGは長きにわたるパートナー国であり、今後とも堅固な協力関係を持続させていきたいと述べました。マラペ首相からは、これまでJICAが実施した事業の質の高さへの感謝とともに、今後も両国の発展を後押しするため、人と人との交流や経済交流を実施したいとの発言がありました。両者はODAを通じた日本とPNGのさらなる関係強化の必要性を確認しました。

また田中理事長は、ロッソ副首相とシュノーベル運輸航空大臣とともに完工を間近に控えた有償資金協力「ナザブ空港整備事業」の建設現場を視察し、銘板除幕式に出席しました。PNG第二の経済都市レイの郊外に位置するナザブ空港は、工事完了後に従来の国内線に加えて国際線の就航が可能となり、PNGのさらなる発展に寄与します。式典では、大臣から、JICAの協力への感謝とともに、完工の暁には、PNGと日本の親密な関係を表すため、空港の名称をナザブ・トモダチ国際空港(NADZAB TOMODACHI INTERNATIONAL AIRPORT)に変更予定であることが伝えられました。

レイは、PNGの商工業の中心地であり、急速に増加する電力需要への喫緊の対応が必要不可欠です。田中理事長は有償資金協力「ラム系統送電網強化事業」で増設されたエラップ変電所を視察し、全長138kmに及ぶ送電線の敷設と変電設備の新設・拡張・改修の現場を確認しました。レイを中心とする地域への安定した電力供給を行なう本事業について、PNG電力公社総裁から、日本の支援への感謝と、本事業による経済の活性化と地域住民の生活環境の改善への期待が伝えられました。

JICAはこれまで、PNGの小学3年生から6年生の算数・理科の教科書と教員用指導書を開発してきました。現在は、将来の教員がこの教科書を適切に使用し、質の高い教育を提供できるように、教員養成校の理数科の学生用教材及び講師用指導書を作成しています。田中理事長は、長年日本が協力してきた教育メディアセンターを訪問し、これまで策定した理数科教科書や講師用指導書を活用した遠隔教材作成の様子を視察しました。 田中理事長は、教育は国の開発を支える礎であり、長期的な取り組みの必要性があると、初等教育の教員養成を支援するJICA技術協力プロジェクトへの期待を述べました。

また、田中理事長はPNG国立大学を訪問し、2022年2月に開設された、日本の近代化・経済成長の過程を学び自国の発展について考察する「JICAチェア」の受講生と交流しました。日本の近代化を成功させた背景等に関する学生からの質問に答えた理事長は、JICAチェアの講義が、日本の経験を知り、自分たちの社会をどう形作るか考える一助となれば嬉しいと語りかけました。

マラペ首相と会談

空港銘板除幕式

PNG国立大学の学生と交流

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