私のなんとかしなきゃ! 東尾 理子 プロゴルファー

一人一人ができること、集まれば大きな力に

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世界について考えるとき、思い出す話があります。かつて、テレビ番組に出演したときに知ったことなのですが、開発途上国の赤ちゃんたちの栄養を改善するために粉ミルクを贈ったところ、お母さんたちが文字を知らないために注意書きが読めなかったり、粉ミルクを溶くための水が衛生的でなかったりして、かえって子どもたちが病気になってしまった、というのです。良かれと思ってした支援がかえって相手を傷つけてしまうこともあると知り、本当に相手のためになる支援とは何かを考えるようになりました。

もともと私は、自分の子どもを持つよりずっと前から、世界の子どもたちの幸せのために何かをしたいと思っていたので、彼らの生活を支えるチャリティー活動にずっと協力してきたんです。自分が一人っ子だったので、大家族への憧れがあり、以前は男の子の兄弟を、その子たちが大人になった今はタイの女の子の姉妹を支援しています。時々、子どもたちから手紙や絵が届くのを眺めるのがとても楽しみです。お返しにこちらからも写真を送ったりして、お互いに家族ぐるみで交流しています。

また、10年ほど前には、日本女子プロゴルフ協会のチャリティー活動の一環で、ラオスに学校を作る支援をしたことがあります。でも、その学校が今どうなっているのか、通った子どもたちがその後どうしているのかを、自分の目で確かめることができていません。いつか、自分の支援が本当に成果につながっているのか、現地の子どもたちは今どうしているのかを、直接見に行きたいと思っています。

とはいえ、今の私は4歳と1歳の子ども二人を育てる母親の身ですから、この子たちを放り出して行くことはできません。その代わり、フェアトレード製品を買ったり、チャリティー活動を行っている友人を支援したりと、今の私でもできることから少しずつ、人の役に立つことを積み重ねるよう心掛けています。

昨年の熊本地震の際も、娘が生まれたばかりだったため、自分で現地に飛ぶことはできませんでした。ゴルフが盛んな熊本には多くの女性ゴルファーの友人がいますが、この1年は自粛ムードで仕事も減ったとか。彼女たちを勇気付けるためにも、いつかチャリティーゴルフ大会を実現できればと思い描いています。

一人で大きなことを成し遂げるのは、簡単ではありません。でも、誰もが自分でできる小さいことを少しずつ実行していけば、それが集まって大きな力になると思うのです。「一人が隣の人を笑顔にできたら、いつか世界中の人が笑顔になれるはず」というのが、私の信念です。一人でも多くの人と笑顔でつながるように、私にできることをしていきたいと思っています。

PROFILE

8歳でゴルフを始める。帝京高校では自ら興したゴルフ部でキャプテンを務め、2年生のときに「日本女子アマチュアマッチプレー」で優勝。1994年には「全米女子アマ」でベスト8入り。米フロリダ大学卒業後、プロゴルファーの道に進み、2004年から米女子ツアーに参戦した。現在は、プレーヤーはもちろん、解説やレポーターとして、またテレビ番組やCMにも出演するなど、多方面で活躍している。

なんとかしなきゃ!プロジェクト

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」は、開発途上国の現状について知り、一人一人ができる国際協力を推進していく市民参加型プロジェクトです。ウェブサイトやFacebookの専用ページを通じて、さまざまな国際協力の情報を発信していきます。