私のなんとかしなきゃ! ERIKO モデル・定住旅行家

“知る”は夢の実現への第一歩

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もともと言語を学ぶことが好きで、社会人になってからも語学留学でさまざまな国を訪れました。そんな私が、初めて言語ではなく文化やライフスタイルにひかれた国、それが南米のアルゼンチンです。どんなに生活が困窮している人々でも、食べ物や情報を共有したり、助け合ったりしながら生きていて、その優しさや強さに感銘を受けました。日本では、南米といえば危険であまり良くない印象を持たれがちですよね。その偏ったイメージを変えたいと思い、1年4カ月かけて中南米・カリブ25カ国を回る旅に出たのです。

その国の生活を知ることが一番の目的なので、基本的にホテルには泊まらず、現地の家庭に滞在しました。なるべく人と交流する時間をつくるため、その家のお父さんの仕事に同行させてもらったり、お母さんの家事を手伝ったり、時には子どもの学校で日本に関する授業を行ったりしながら過ごし、人々の暮らしをブログや動画配信サービスなどを通じて発信しました。滞在先を探す際には、お世話になった家族に次の国での信頼できる家族を紹介してもらったりもしました。知り合いのそのまた知り合いというつながりの中にはさまざまな物語があり、多くの家族と縁を深めることができました。

同じ人間でも、場所が違えば多様な価値観や生き方がある。中南米の旅で強く感じたそのことを多くの人に伝えたいと思い、現在もモデル業の傍ら、"定住旅行家"として世界を旅しています。トークイベントや大学の講義など、発信の場も広がっていますが、一度も海外に行ったことがない人から共感を得る難しさも感じています。そんなときは、例えば女性なら、子育てやライフ・ワーク・バランスといった身近な話題から入り、日本と比較することで世界の現状にも関心を持ってもらえるように心掛けています。

私は、まずは物事を知ることが全ての始まりだと思います。先日、私が書いた本を読んで、自分も何かやりたいと思いボリビアで起業したという女性からメッセージをいただきました。「現地の雇用を増やしたい」という彼女の挑戦は、そもそもボリビアの失業率が高いことを知らなければできません。自分に何ができるかを探す上で、知ることは重要なのです。

今年は「なんとかしなきゃ!プロジェクト」の一環としてホンジュラスを訪問し、現地のコーヒー農家に話を聞いたり、青年海外協力隊の活動を見学したりしました。「ERIKOさんの活動を知って、JICAを志すようになった」というメッセージをくださった方もいます。これからも、一人でも多くの人が自分なりの問題意識を持ったり、何か目標を見出したりするのを後押しできるような活動を続けたいと思います。

PROFILE

東京コレクションでモデルデビュー。スペイン語留学で訪れたアルゼンチンでの生活をきっかけに、ラテンの地と日本の架け橋になるべく、2012年から中南米・カリブ25カ国を旅した。現在はモデルと並行し、"定住旅行家"として世界各地の家庭に滞在しながら旅を続け、人々の生き方や暮らしを伝えている。「なんとかしなきゃ!プロジェクト」著名人メンバー。著書に『暮らす旅びと』(かまくら春秋社)がある。写真はホンジュラスのコーヒー農園で働く女性と共に撮影したもの。

なんとかしなきゃ!プロジェクト

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」は、開発途上国の現状について知り、一人一人ができる国際協力を推進していく市民参加型プロジェクトです。ウェブサイトやFacebookの専用ページを通じて、さまざまな国際協力の情報を発信していきます。