日本の技光る! ベトナムの国際ゲートウェー

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ノイバイ国際空港の完成パース図(提供:Airports Corporation of Vietnam)

【画像】ノイバイ国際空港は、ベトナムの首都ハノイの近代化を象徴する建造物の一つといえる。同空港の「第2旅客ターミナルビル」と空港〜ハノイ市内を結ぶ「アクセス道路」および「ニャッタン橋」は、「ハノイ市国際ゲートウェー整備三事業」として日本の円借款を活用して整備された。2015年1月に完成式典が開かれた国際ゲートウェー。その建設の裏に隠されたさまざまな日本の技や知恵を探しに行こう。

第2旅客ターミナルビル(建設・運営改善)

国際線専用の第2旅客ターミナルビルは、竣工(しゅんこう)日の翌日である2014年12月31日から利用が始まった。通常、空港が建設されてから開港までには、職員が発券や搭乗手続きなどのオペレーションを学ぶために3カ月間ほどの準備期間が必要になる。だが、現地側から「竣工と開港を同時期にしてほしい」という要請を受け、建設を請け負った大成建設株式会社は天井や床の仕上げ作業とトレーニングを同時に進めるなどして、この要請に対応した。運営面では、成田国際空港株式会社が維持管理手法の伝達や顧客満足(CS)意識の醸成、保安体制の整備、テナント運営なども支援。ノイバイ空港は2016年、英国の航空サービスリサーチ会社が発表する「世界で最も改善された空港」の1位に選ばれた。

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出発ロビー。白を基調に、側面がガラス張りの近代的なデザインとなっている

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手荷物受取所

航空機給油施設

ハイフォン港からタンクローリーで運ばれた航空燃料は、貯油タンクで貯蔵される。その後、地下に埋設された配管で駐機場へ送られ、ディスペンサーと呼ばれる車両を経由して航空機へ給油される。この仕組みはハイドラントシステムと呼ばれ、ベトナムの空港で導入されたのは初めて。日本の専門家や新関西国際空港エンジニアリング株式会社が、現地の給油会社に対して施設の運営・維持管理に関する技術を指導した。現地企業の技術は今や、他国の給油会社が見学に来るまでに向上している。

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貯油タンク

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ディスペンサーについての技術指導

アクセス道路・ニャッタン橋

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紅河に架かるニャッタン橋。空港側から橋を渡ると一気に市街地の活気があふれてくる

空港〜ニャッタン橋間をつなぐアクセス道路は、全長12.1キロ、6車線の道路。ニャッタン橋の全橋長は、3,755メートルと東南アジア最大規模の斜張橋(塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に直接つなぎ支える構造の橋)だ。斜張橋の建設は難易度が高く、工事には日本のとび職人が派遣され、現地のエンジニアや作業員に技術指導を行いながら進めた。1時間近くかかっていた空港からハノイ市内中心部までの移動時間は、30〜40分に短縮された。

免税店

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出発ゲート西側店舗(提供:JALUX)

出発・到着エリアには、日本ブランド製品を販売する免税店がある。運営するのは、日本の空港で店舗事業を手掛ける株式会社JALUXと現地企業の合弁会社「JALUX TASECO DUTY FREE CO.,LTD.」。日本企業が海外の国際空港で免税店を運営するのは初めてで、各店舗には化粧品や菓子などの嗜好品を求め、多くの旅行客が足を運ぶ。