私のなんとかしなきゃ! 森 星 モデル、タレント

一人の力でも、誰かを変えられる

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今年6月に訪問したネパールで、職業訓練を受ける女の子たちと(©まゆみ瑠衣)

私は小さいころから母の祖国アメリカなどの先進国は見てきたものの、開発途上国に触れる機会はありませんでした。3年前に国際NGOプラン・インターナショナルから、女の子たちに教育や職業訓練の機会を提供し、自立を助けるGirl's Projectの現場を見に行きませんか、と声を掛けていただいたんです。当時はそうした問題に対して自分に何ができるか分からない状態でしたが、私が女の子たちと会って発信できるものがあるならと思い、参加させていただくことにしました。

ベトナムで出会った女の子たちは、みんな将来の夢を持っていました。物資不足や貧困に苦しむ子どもは夢など持てないのでは、というのは私の思い込みだったんです。シャボン玉の道具を持って行って一緒に遊んだのですが、初めて見るシャボン玉に目を輝かせる様子が印象的でした。

翌年は、学校に行けなかった女の子たちが職業訓練を受けるカンボジアの学校を訪問。新たな人生の目的を見つけた女の子たちの心は未来に向いていました。私はつい過去にとらわれ、小さな夢を達成した時点で満足して飽きてしまいがち。夢を持ち続け、身近な幸せの一つ一つを感じとることが、日頃の不安や物足りなさを埋めていくのだと気付きました。

今年6月に訪問したネパールでは、10代半ばで結婚、出産し、母親として家庭にこもる女の子がたくさんいるそうです。大切にしてくれる夫と出会える子もいますが、中には、無理やり結婚させられてしまう子もいます。でも、「結婚したら、自分の将来はそこで終わり」と思っていた女の子が、職業訓練センターで新しい希望を見つけ、自信を取り戻した姿を見ました。日本でもネパールでも、女性に選択肢が与えられること、場合によっては女性が家族を支える大黒柱になる可能性が生まれることは素敵だと感じました。

私の同世代にも社会を良くしたいと思う人はたくさんいますが、具体的な行動に移せる人は多くありません。私自身も、一人の力は弱いと、ずっと思ってきました。でも、例えば外国では、私の振る舞いが、見る人の日本に対する印象を決めてしまうこともあります。SNSなど発信の機会が増えた今、一人の行動が多くの人の考え方を変えることもあるはずです。

モデルは、自分の中に積み重ねた経験を表現するのが仕事。途上国の女の子たちから学んだ思いを表現するとともに、彼女たちのことを伝えるのが、私の役割だと考えています。私の発信が、一緒に大人になっていく同世代が行動を起こすきっかけになるとうれしいですね。

PROFILE

モデルとして数々のファッション誌や広告などで活躍。2015年から公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンのBecause I am a Girlエンジェルに就任し、開発途上国の女の子たちの現状を伝え始めた。現在は明るく天真らんまんなキャラクターを生かし、モデル以外にも活躍の場を広げている。写真は今年6月に訪問したネパールで、職業訓練を受ける女の子たちと

なんとかしなきゃ!プロジェクト

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」は、開発途上国の現状について知り、一人一人ができる国際協力を推進していく市民参加型プロジェクトです。ウェブサイトやFacebookの専用ページを通じて、さまざまな国際協力の情報を発信していきます。