知っておきたい!水産をめぐる世界の現状

日本の食卓を支える海の幸。近年、日本、そして世界の水産業界を取り巻く環境は変わりつつある。
SDGsのゴール14に掲げられたように、水産資源の管理が国際社会全体の課題として叫ばれるようになったのはなぜなのか。
漁業・養殖業や貿易などに関するデータをもとに考えてみよう。

漁業・養殖業の動向

乱獲や沿岸開発などの影響によって、漁獲量の伸びは1990年ごろから停滞し、9,000万トンレベルで頭打ちとなっている。2013年には、水産資源のうち3割弱が乱獲状態にあり、持続不可能な利用であると評価された。

近年、水産食品の生産は主に漁獲漁業から、養殖対象種を増やす方向へと移行してきた。2014年には食用として消費された魚介類の養殖生産量が、初めて天然の漁獲量を超えた。

世界の漁獲量と養殖生産量

【グラフ】

食用として消費された魚介類の量

【グラフ】

水産物貿易の状況

水産物の貿易額

世界の水産物輸出額に占める開発途上国の割合は、かつては先進国より低かったが、その後シェアが逆転し、2014年には54%に達した。一方、輸入額は先進国の方が高い割合を占める。

輸出

【グラフ】

輸出 上位5カ国(2014年/単位:米ドル)
順位 国名 金額
1 中国 209億8,000万
2 ノルウェー 108億300万
3 ベトナム 80億2,900万
4 タイ 65億6,500万
5 米国 61億4,400万

輸入

【グラフ】

輸入 上位5カ国(2014年/単位:米ドル)
順位 国名 金額
1 米国 203億1,700万
2 日本 148億4,400万
3 中国 85億100万
4 スペイン 70億5,100万
5 フランス 66億7,000万

開発途上国における農水産物の純輸出収入(輸出額−輸入額)

魚介類の純輸出収入は、他の主要な農産物の合計を上回っており、途上国にとって重要な外貨獲得源となっている。

【グラフ】

※出典:FAO世界漁業・養殖業白書2016年

水産物の生産・貿易の重要性

  • 食料と栄養の安全保障
  • 雇用・所得の創出
  • 国の経済発展と成長
  • 食品の供給