JICA STAFF 清水川 佳菜 国際協力人材部 人材養成課

多くの人が自分らしく国際協力に携われるように

国際協力と地元・東北地方の震災復興の双方に関心を寄せてきた清水川さん。国際協力人材の養成を通じて開発途上国支援の一翼を担う中で、多様な働き方の実現や、自身の専門性の追求など、夢はますます広がっている。

震災を通して地元と世界を見る

【画像】

JOBセミナーで司会をする清水川さん。国際協力人材部人材養成課では、この他、国際協力業界の全体像を紹介する「国際協力人材セミナー」も年に1度開催している

私は小学生のころに開発途上国に関する授業を受けて以来、世界の人々のために何かしたいと考えるようになりました。そんな私の目を、一気に地元・東北地方に引き戻す出来事が高校2年生のときに起こりました。東日本大震災です。

当時、私は福島県の実家で暮らしていましたが、建物が壊れ、ライフラインも絶たれた震災後の地元の景色を見て大きなショックを受けました。「復興のために何かしなければ」という思いに駆られ、まずは地元の現状に向き合うことを決めたのです。

東北大学に入ってからは、ボランティア活動を行うNGOに所属して、震災孤児の教育支援や民家の修復などの活動に参加しました。3年生になるころには少しずつ復興の兆しを感じられるようになり、途上国への思いが再燃。交換留学制度を活用して7カ月間タイの大学で勉強することにしました。

タイ・バンコクのスワンナプーム空港は日本の円借款で建設された国際空港です。国の玄関口としての役割を担う巨大空港を目の当たりにし、国の経済全体に影響を与えられるJICAの仕事に強く引かれるようになりました。また、留学先の大学は2011年に発生したタイの大洪水で大きな被害を受けていたこともあり、ここでも震災復興や防災について考え、関心を深めることができました。

目指した仕事を続けられるように

【画像】

「グローバルフェスタ2017」のJICAブースでは、人材養成課の職員が来場者に国際協力のキャリア相談を行った。同課では、依頼に応じて全国の大学に出向いて講義なども実施している。「電話やメールで気軽にお問い合わせください」と清水川さん

2016年にJICAに入構してからは、国際協力人材部人材養成課で主にインターンシップの募集・受け入れと、国際協力分野で活躍する人材を目指す人たち向けのセミナーの企画・運営を担当してきました。

インターンシップは大学生、大学院生、若手社会人を対象とし、JICA本部や国内機関、在外事務所で受け入れています。インターンシップ経験者の中には、その後、青年海外協力隊や開発コンサルティング企業などに内定したことを報告してくれる人もいて、仕事の成果を実感できることにやりがいを感じています。

一方、セミナーについては年に4回開催する「JOBセミナー」の企画・運営が主な仕事です。例えば、「国際機関編」のように、回ごとにテーマを設けて、学生や若手社会人を対象に、求められている人材と、個人のキャリア形成の双方の観点から、国際協力の仕事を広く発信しています。

昨年9月のJOBセミナー「中南米編」は、スペイン語人材が不足しているという昨今の国際協力人材市場の状況を踏まえて開催したものです。私はこうしたセミナーの開催に当たって、企画立案、関連部署との調整、広報先の選定など、セミナーの運営全般を担当しています。

国際協力の仕事を目指すさまざまな人と接する中で、最近はより多くの人が自分らしい働き方で国際協力に携われるようになってもらいたいと感じるようになりました。特に女性からは、結婚や出産といったライフイベントとの両立が難しいのではという声を聞くことが少なくありません。今後は、防災分野や東南アジア地域の専門性を高めつつ、女性も国際協力の仕事を続けられるのだということを身をもって示すロールモデルになりたいと思っています。

プロフィール

【画像】

清水川 佳菜さん

清水川 佳菜(しみずかわ かな)
国際協力人材部 人材養成課(取材当時)

2012年、東北大学経済学部入学。大学2年次にアメリカで計3カ月間の語学留学とインターンシップを経験し、3年次には7カ月間タイに交換留学。2016年に卒業後、JICAに入構し、ラオス事務所でのOJTを経て、国際協力人材部人材養成課に配属。