私のなんとかしなきゃ! たかまつ なな お笑い芸人

いくつもの正しさを知り、より良い答えを考える

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マダガスカルの農村を訪問したときのもの

これまで、外務省やJICAのお仕事で、バングラデシュやカメルーン、マダガスカルなどを訪問させていただきました。国際協力といえば井戸を掘る、橋を架けるといった政府開発援助(ODA)によるインフラ建設のイメージでしたが、現地で感染症予防のための啓発活動や児童労働の根絶に取り組む日本人の姿を拝見して、私でもできることをと考え、自力でネパール取材も行いました。

現地で印象的でしたのは、活動する皆さまの生き生きとしたご様子です。国際協力やボランティアに取り組むことで、人から感謝されれば、自分の誇りにもつながります。でも、日本では学生時代にボランティア活動に力を入れる方が多いのに、卒業後の進路として社会貢献が選択肢となることはほとんどありません。自己実現の手段としてのボランティア、中でも自分の専門知識や技能を生かして社会貢献する「プロボノ活動」を、日本で盛り上げていきたいと考えております。

私が"お笑いジャーナリスト"として講演に伺う先は学校が一番多く、主権者教育や国際協力、社会問題の認知向上をテーマにお話ししています。あるとき、バングラデシュの東西を隔てるジャムナ川に橋を架けたJICAの取り組みを例に取り、生徒の皆さんには橋が架かる前の地元の人々になりきって、いろいろな立場からプロジェクトについて議論していただきました。その後で意見を聞くと、「いろいろな考えを聞いてからだと、どの意見に賛成すればいいか分からない」という答えが返ってきました。政治や社会問題では、数多くの異なる意見がありますが、どれもそれぞれの立場からは良いこと、正しいことを主張しています。だからこそ、唯一の正解を決めるのではなく、互いの意見に折り合いをつけて、優先順位を決めていくことが大切。答えが分からないのは、いろんな視点で真剣に考えてくれたからだとうれしくなりました。

日本では多くの人は"難しいから"と政治や社会の問題から距離を置いていますが、決して興味がないわけではありません。ですから、私は難しい言葉を使わず、分かりやすく伝えることを意識しています。お笑いもまた、多くの人に伝えるための力。このごろは、企業を中心に持続可能な開発目標(SDGs)の講演会の問い合わせが多く、興味が高まっていると感じます。今は他の芸人さんを巻き込んで、より多くの人に出張授業を届けています。

PROFILE

フェリス女学院から慶応義塾大学に進学し、在学中に日本テレビ「ワラチャン!U-20お笑い日本一決定戦」で優勝。"お嬢さま芸人"として脚光を浴びた。芸人活動の一方で2016年に株式会社笑下村塾を設立し、笑いを通して社会問題について発信する"お笑いジャーナリスト"として、学校や企業などで出張授業を行っている。「なんとかしなきゃ!プロジェクト」著名人サポーター。写真はマダガスカルの農村を訪問したときのもの。

なんとかしなきゃ!プロジェクト

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」は、開発途上国の現状について知り、一人一人ができる国際協力を推進していく市民参加型プロジェクトです。ウェブサイトやFacebookの専用ページを通じて、さまざまな国際協力の情報を発信していきます。