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エボラ対策、供与物資引き渡し 感染拡大防止に期待

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首都キンシャサ近郊の河川港での検疫活動支援の様子。近隣国との人々の往来が多い都市部での感染拡大が懸念されていた。

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コンゴ民主共和国

2018年9月6日、JICAが供与したエボラ出血熱の流行に対する緊急援助物資がコンゴ民主共和国に引き渡された。4日に行われた引渡式にはコンゴ民主共和国側からオイリー・イルンガ保健大臣らが、日本側から軽部洋駐コンゴ民主共和国大使、柴田和直JICA事務所長らが出席し、イルンガ保健大臣より、日本の協力に対する謝意と継続的な支援への期待が述べられた。

同国西側に位置する赤道州でエボラ出血熱の流行宣言が出されたのは2018年5月8日。7月25日にWHOが終息を宣言したが、8月4日に今度は東側の北キブ州で新たな流行が発表されていた。今回引き渡された物資は同国政府によって流行地に届けられ、疫学サーベイランス、検疫強化および検査診断分野で活用される。

ニュース深掘り! 緊急援助で得た教訓を次なる支援に活かす

2018年5月の流行は120万人以上の人々が住む赤道州の州都で発生しました。首都キンシャサとの水運も盛んであるため、感染拡大を水際で防ぐ検疫強化や検査診断の強化が喫緊の課題でした。

そこで日本は、6月に国際緊急援助隊・感染症対策チームを派遣し、首都に向かう人々の玄関口であるコンゴ川河川港の臨時検疫所の活動支援と、首都での検査診断支援を行いました。安全な検疫に必要な物資の供与や検疫官の執務環境の改善、適切な検査診断の指導など、現場の問題に迅速に対応できたことは現地住民からたいへん感謝されましたが、一方で、地方の検査室の能力不足など、さらなる課題が見えてきたことも確かです。現在はそれらに対処すべく、来年度開始が計画されている技術協力プロジェクトの見直しを行っています。また、無償資金協力で支援している、首都キンシャサの国立生物医学研究所の設備整備も来年度完工予定です。今後もJICAは組織一丸となって、技術協力や資金協力などさまざまなアプローチから、コンゴ民主共和国の医療・保健分野の向上に協力していきます。

プロフィール

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石川絵里子さん

人間開発部 保健第2チーム
石川絵里子(いしかわ・えりこ)

2017年入構。2018年6月、日本がコンゴ民主共和国に派遣した国際緊急援助隊・感染症対策チームに参加。現地での関係者間の調整や各種の手配に従事。

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