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日本式教育をエジプトへ本格導入 「エジプト日本学校」35校が開校

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教室の掃除をする「エジプト日本学校」の1年生たち。

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エジプト・アラブ共和国

エジプト・アラブ共和国で、日本式教育を取り入れた「エジプト日本学校」35校が2018年9月23日に開校した。かねてからエジプトの学校教育の課題であった教室の過密化や、試験偏重主義、実技や実験機会の不足などの改善に取り組む。

これらの学校では、学級会、学級指導、日直、掃除といった、日本の特徴的カリキュラムである「特別活動」を実践するほか、学校施設においても、広い教室面積、児童一人に一組の机とイス、屋内外の運動用スペース、実技教科用の特別教室、職員室など、各所に日本式の要素を取り入れている。

今後、児童の社会性を育む実技教科や学校行事の充実など、日本式教育のさらなる拡充を図るほか、円滑な学校運営に欠かせない職員会議の導入などを進めていく。

ニュース深掘り! 児童の社会性の醸成に教師・保護者が期待

2015年の安倍総理のエジプト訪問の際にエルシーシ大統領が「日本式教育をエジプトに導入したい」と述べたことをきっかけに、2016年に「エジプト・日本教育パートナーシップ」が発表されました。就学前教育から高等教育に至るまで包括的な支援を行うことを謳い、基礎教育分野では日本式の特別活動を導入することで、児童の主体性や協調性、規律などの醸成を目指しています。

試験的に特別活動を導入してきたパイロット校では、保護者や教師から「整理整頓を自らやるようになった」、「生活態度が向上した」といった声が聞かれ、校長先生からも、「児童が学校を以前より好きになった」、「教師の児童への接し方が変わった」など、よい変化が報告されています。

あるパイロット校でのエピソードでは、子どもが噛んだ後のガムをポケットにしまっていたのを親が見つけ理由を尋ねたところ、「学校でゴミをポイ捨てしてはいけないと学んだ」と答えたそうです。その親は校長室に来て学校の教育を絶賛したとのこと。エジプトは、特別活動を中心とした日本式教育をさらに広めたい意向です。

プロフィール

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山上千秋さん

JICAエジプト事務所
山上千秋(やまがみ・ちあき)

2014年入構。南アジア部南アジア第二課、人間開発部基礎教育グループを経て2018年6月よりエジプト事務所に赴任し、教育分野を担当。