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世界に受け継がれる日本の近代化経験 JICAの留学生が「日本理解プログラム」を受講

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日本の近代化の歴史について意見交換を行う「日本理解プログラム」の参加者。

JICAの人材育成事業で来日した留学生を対象にした「日本理解プログラム」が、政策研究大学院大学で2018年8月から9月にかけて3回実施された。7日間のプログラムでは、日本の近現代史についての講義や国会視察などのほか、最終日には「日本の開発経験から学んだこと」「現在の日本が抱えている課題」などについてディスカッションを行った。

プログラムはJICAが推進する「JICA開発大学院連携」構想の一環。途上国の未来と発展を担うリーダーとなる人材に日本の近代化の経験について体系的な学びの機会を提供し、母国の発展に役立ててもらうことを目標にしている。そしてこれにより、日本とのパートナーシップが中長期的に維持・強化されることを期待している。2018年10月には、連携する大学で日本の開発経験やODAの知見を学ぶカリキュラムの提供も始まった。

5年後には、本構想の下で約2000人の学生が日本で学んでいる予定だ。

ニュース深掘り! 留学生により深い学びの機会を

実はこれまでも、本邦研修の中には日本の政治・経済や社会などの個別の講義がありました。ただ、もっと体系的に日本の近代化や開発協力の経験をそれぞれの出身国の開発に活かしてもらいたい、きっと参考になるはずだというのが、「JICA開発大学院連携」の根底にある考えです。

「日本理解プログラム」は、そのための総論や概略として設けられました。近現代における日本自身の開発の経験を5~7日間で集中的・体系的に学びます。せっかく日本で暮らしているのですから、専門領域だけ学んで帰ってしまうのはもったいない。「さまざまな地域から来日した留学生と討議でき、日本の発展に関する理解が深まった」、「ほかの留学生にもぜひ参加の機会を」という参加者の声は、今回の取り組みに大きな意義があることを示していると思います。

「JICA開発大学院連携」全体としては、水道、防災や保健など、各専門領域においても、日本の近代化や開発協力の経験を含んだカリキュラムが各連携大学で始まっています。「日本理解プログラム」の担当者としては、このプログラムが各専門領域で日本の知見を学ぶ留学生たちの助けとなり、それを母国の発展に活かしてくれることを楽しみにしています。

プロフィール

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三上賢太さん

国内事業部 JICA開発大学院 連携推進室
三上賢太(みかみ・けんた)

2012年入構。2016年10月から国内事業部で留学事業の拡充やJICA開発大学院連携に携わる。日本理解プログラムの立ち上げに従事。