教えて!外務省 知っておきたい国際協力6)

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外務省ODA広報キャラクターODAマン©DLE

「WAW(ワウ)!」と呼ばれる国際会議をご存じだろうか。
2019年に5回目となる女性をテーマとしたこの会議について紹介しよう。

今月のテーマ 国際女性会議WAW!

Q1 どんな会議なの?

A1 女性をめぐる課題についてさまざまな視点・角度から議論し、提言する国際会議です。

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WAW!2017で基調講演を行う世界銀行CEOのゲオルギエヴァさん。

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WAW!2017シャイン・ウィークスでのイベント(写真提供:一般社団法人国際学生会議所WLS事務局)。

安倍晋三総理は、2013年9月の国連総会の一般討論演説で「女性の力の活用」を掲げ、政権の最重要課題のひとつとして「すべての女性が輝く社会づくり」に取り組んできました。その一環として開催されたのがWAW!です。

WAW!は「国際女性会議(World Assembly for Women)」の略称で、経済から国際協力まで幅広い分野での女性をめぐる課題に対して、さまざまな視点・角度から議論する国際会議です。第1回目は2014年に東京で開催され、以後毎年同地で開かれています。毎回、20を超える国や地域、国際機関などから、政治・経済・社会分野の第一線で活躍しているリーダーが100人近く集まり、基調講演やパネルディスカッション、分科会などが行われます。2017年のWAW!には米国大統領補佐官のイバンカ・トランプさんや世界銀行CEOのクリスタリナ・ゲオルギエヴァさんも参加し、会場は大いに盛り上がりました。

また、WAW!の前後の期間をシャイン・ウィークスとして、WAW!の趣旨に賛同する関係府省庁や地方自治体、市民団体、学生団体、企業などが女性の活躍を応援する多様なイベントを開催し、会議だけでなく日本全体で女性活躍推進の動きを促進しています。

Q2 第5回WAW!の注目ポイントは?

A2 国際色豊かな出席者を招いたプログラムに、誰でも参加できます。

第5回WAW!は、2019年3月23日(土)、24日(日)の2日間にわたり東京のホテルニューオータニで開催されます。テーマは「誰一人取り残さない多様な社会へ」。今回の基調講演は、国連人権高等弁務官のミチェル・バチェレ・ヘリアさんとノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが行います。パネルディスカッションでは技術革新と人材育成、地方活性化と雇用創出、多様性と企業経営や職場環境、家族の未来などのテーマで議論が行われます。

さらに今回はW20(Women20)との同時開催で「WAW!/W20」となります。2014年のブリスベン・サミットで「G20は2025年までに就労率の男女差を25パーセント縮小する」という宣言が採択されました。W20は、女性のエンパワーメント推進についてG20首脳に政策提言を行うため、2015年につくられた民間グループで、今年は、労働、金融、デジタル分野の公平性、ガバナンスなどのテーマで議論が行われます。

女性に関わるこの二つの国際的な会合は、女性の活躍推進という目的を共有しているので、同時に開催することになりました。事前に申し込めば誰でも無料で参加することができます。興味のある人は、世界中から訪れたリーダーたちの意見や提言を聴きに、ぜひ足を運んでください。

Q3 女性に対する暴力は、WAW!でどう扱われてきましたか?

A3 毎回取り上げられている重要なテーマです。

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世界中で女性支援の動きが生まれています。©DLE

第1回WAW!では、紛争下での女性への性的暴力を撲滅する取り組み強化の必要性が確認され、毎回、ジェンダーによる暴力や差別は議論の対象となってきました。今回も「女性も参画する紛争予防・平和構築・復興」の分科会があり、2018年のノーベル平和賞受賞の背景となった紛争下の性的暴力の現状や予防の重要性などを話し合います。

紛争下の性暴力の問題が、国際的に取り上げられるようになったきっかけのひとつが、2000年10月、女性と平和・安全保障の問題を明確に関連づけた初の国連安保理決議(1325号)です。以後「女性・平和・安全保障(WPS:Women, Peace and Security)」が、世界的な重要課題と認識されるようになっています。2010年には紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表(SRSG-SVC)が任命され、問題が起きている国と交渉し、暴力廃絶に向けて国際社会全体で取り組むための調整を行っています。2011年にはジェンダー平等と女性のエンパワーメントのために国連女性機関(UN Women)が活動開始。日本政府はどちらにも人的・資金的な協力を行っています。WAW!はこうした機関の協力も得ています。

女性をめぐる課題は、途上国・先進国の区別なくどこの国にもあること。さまざまな課題があることを知り、そのために今自分になにができるのか-WAW!はそれを考えるよい機会になると思います。

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UN Womenの職業訓練プロジェクトの様子(写真提供:UN Women)。

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SRSGの司法支援強化プロジェクトの様子(写真提供:SRSG-SVC)。

第5回国際女性会議WAW!/W20

【画像】日時:2019年3月23日(土)、24日(日)
会場:ホテルニューオータニ(東京)

在外公館レポート from Georgia(ジョージア)

暴力から女性を守る!

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ジョージア 首都トビリシ

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日本の協力によって整備されたシェルター。

2018年に大関昇進を果たした栃ノ心関の出身地として知られるジョージアは、黒海に面する南コーカサスの国です。緑豊かな自然に恵まれ、世界遺産となっている中世キリスト教建築や無形文化遺産に登録されたワイン造りなどで知られています。

しかし実は、同国内にはドメスティック・バイオレンス(DV)に悩まされている女性が少なくありません。DV被害は年間約3,000件(2015年統計)。彼女たちは悩みつつも行き場のない切実な状況に置かれています。しかし国内の公営シェルターは4か所しかなく、入所を断られるケースが後を絶ちません。政府の支援が行き届いていないのが実情です。

こうした現状を背景に、日本政府は現地NGOの要請を受け、首都トビリシ市で同NGOが運営するDV被害者保護シェルターの改修・改装工事を支援しました。これにより同シェルターの収容人員が倍増するとともに個室が設けられ、安全で快適な環境で女性を保護できるようになりました。供与式にはジョージアの大統領夫人も出席し、日本の支援に謝意が示されました。

今は保護されている女性たちも、いつかはこのシェルターを離れ、それぞれの人生を送っていくのでしょう。そのときに、日本支援のシェルターで過ごした日々が支えとなってくれることを願っています。

(在ジョージア日本国大使館 参事官 小畑政孝、草の根委嘱員 橋本典子)

答えてくれた人

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松田 友紀子さん

外務省 総合外交政策局 女性参画推進室 室長 松田 友紀子(まつだ・ゆきこ)さん

1994年外務省入省。在ジュネーヴ代表部書記官、南西アジア課首席事務官や北米第一課首席事務官などを経て、2018年8月より現職。2019年3月の「国際女性会議WAW!」の成功に向け奮闘中。