教えて!外務省 知っておきたい国際協力7)

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外務省ODA広報キャラクターODAマン©DLE

途上国の発展のために日本が行っている資金的な支援など。
その役割や特徴、実績などをあらためてご紹介します。

今月のテーマ 政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)

Q1 日本の支援の特徴は?

A1 途上国の自立促進、匠の技を生かす援助です。

平和構築やガバナンス、基本的人権の啓発、人道支援などを含む途上国の"開発"を目的に、途上国や国際機関が行う活動のための公的資金による援助がODAです。ODAには、物や資金を提供する「無償資金協力」、低い利子で貸す「有償資金協力」、技術を伝える「技術協力」の三つの形態があり、日本のODAは金額規模で見ると「有償資金協力」の割合が高くなっています。そのねらいは相手国の自立を促すこと。借りたお金を返すために自助努力を行い、自らの発展に力を注ぐようになります。

また、日本の高い技術を生かした支援にも力を入れています。たとえばトルコのボスポラス海峡に地下鉄を通すトンネルは、日本の建設会社によるトンネルを埋める沈埋工法で世界最深となる水深60メートルに設けられました。

こうした日本のODAにはさまざまな人たちが関わっています。外務省本省は政策や方針作りがおもな仕事です。その方針に基づき、JICAや大使館が実際の案件作りを行います。そして、支援の現場では専門家や民間企業、コンサルタント、NGOといった人たちが活動しています。こうした人々のチームワークでODAは成り立っているのです。

Q2 どんな成果を生んでいますか?

A2 途上国の暮らしを改善し、日本というブランドを広げてきました。

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世界各国の言葉で作成された日本発祥の母子手帳。(写真提供:JICA)

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カンボジアの500リエル札。日本がODAで支援したつばさ橋(左)ときずな橋(右)がモチーフになっている。

途上国の人々の暮らしの改善に貢献した日本のODAの一例が母子手帳です。インドネシアでは母子手帳の導入で出産前の健診が進み、医師や助産師が立ち会う出産の数が増え、乳児死亡率・妊産婦死亡率は低減しました。こうしたことが世界で高く評価され、現在40以上の国や地域で導入されています。

ODAには世界と日本をつなぐ役割もあります。たとえばアフリカでは、港湾・鉄道・道路などのインフラ整備を通じて、日本をはじめとする諸外国との経済的なつながりを強める取り組みが継続的に行われています。人材育成にも力を入れていて、2013年のTICADV(第5回アフリカ開発会議)では、5年間で1,000人をアフリカから受け入れることが決まり、現在その多くが日本の大学院や企業で学んでいます。今後アフリカでビジネスを牽引していく若者たちとの人脈を作り、日本企業のアフリカでのビジネスチャンスにつながる、まさに日本とアフリカがウィン-ウィンとなる未来への投資となっています。

こうしたODAによって世界では親日感情が醸成され、日本というブランドを広めることに成功してきています。感謝の声は多数あり、ODAプロジェクトの中には外国の切手やお札のモチーフになっているものさえあります。

Q3 これからのODAが目指すのは?

A3 途上国にも日本にもメリットがある支援です。

【画像】途上国での開発協力は、国や国際機関、NGOなどが行っている遠い場所のことだと思う人も多いでしょうが、けっしてそんなことはありません。近年は民間企業、とくに地方の中小企業の中に、SDGs(持続可能な開発目標)達成や途上国開発と自社の海外展開を結びつけたいと考えるところが現れています。そこで、そうした企業とODAをうまく結びつける動きや制度作りが盛んになっています。日本の中小企業が持つ優れた技術やノウハウを途上国開発で生かすことは、途上国と日本企業双方に大きなメリットがあります。これからは、民間提案型事業などを通して、日本企業に活躍してもらうためのツールをODAでどう整備できるのかを考えていかなければならないと思います。

今年日本で開かれるG20やTICAD7(第7回アフリカ開発会議)では、日本はホスト国として持続可能な未来づくりに向けて、世界の国々が進むべき新たな方向性をしっかりと打ち出し、国際社会をリードしていく存在でありたいと考えています。

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ODAについて発信していきますよ

最後に、ODAが日本にとっても重要であることを国民のみなさまにもっと知っていただく努力がいっそう必要だと考えています。昨年、外務省はODA広報キャラクターとして「秘密結社 鷹の爪団」の吉田くんを「ODAマン」に任命しました。意外に知られていないODAのあれこれを楽しく発信しているので、ぜひ外務省のウェブサイトをのぞいて見てください。

「鷹の爪団の行け!ODAマン」公開中!

【画像】ODAマンに任命された吉田くん率いる「秘密結社 鷹の爪団」が、ODAを楽しく解説します。ご覧になりたい方は、以下のリンクから。

在外公館レポート from Peru(ペルー)

防災に貢献する日本の地デジ

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ペルー共和国 首都リマ

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テレビと文字ディスプレイに表示されるEWBSの訓練メッセージ。

みなさんが見ている地上デジタルテレビ放送(地デジ)の規格には、大きく分けて日本方式、欧州方式、米国方式、中国方式の四つがあります。もちろん日本で用いられているのが日本方式ですが、遠く離れた中南米にも日本方式を採用している国々があります。

2009年、ペルーはスペイン語圏で初めて日本方式の採用を決定し、現在首都のリマ市をはじめとした大都市圏で日本方式の地デジの導入・普及が進められています。

日本方式採用の最大の決め手となったのは、日本方式にしかない緊急警報放送システム(EWBS:Emergency Warning Broadcast System)の存在です。このシステムは、地震や津波などの災害情報を迅速に伝えるため、特殊な信号をのせて放送を行うものです。日本と同様に自然災害が多いペルーにとって有効な警報システムとして認識されています。

ペルーによる日本方式の採用後、日本はODAなどを活用し、ペルーにとってまったく新しい経験となるこのシステムの整備を支援しています。同時に、地デジやこのシステムに関するアドバイザーの派遣やセミナーの開催によって、ペルーが自らこのシステムの整備、運用ができるよう、技術移転と人材育成に取り組んでいます。

(在ペルー日本国大使館)

答えてくれた人

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大西一義さん

外務省 国際協力局 政策課 企画官 大西一義(おおにし・かずよし)さん

1998年外務省入省。在英国・在ロシア大使館参事官、経済局サービス貿易室長、内閣官房副長官秘書官を経て、2018年12月から現職。ODA予算・広報、大阪G20開発分野の調整を担当。