さまざまな民間連携・市民参加の取り組み

ユーグレナ入りクッキーで子どもたちを救う バングラデシュ

農業・食料

JICAでは、民間企業や団体、市民らと連携しながら多様なアプローチで栄養改善の課題に取り組んでいる。

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ユーグレナ入りクッキーを笑顔で受け取る子どもたち。

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バングラデシュ

人口の約半分を占める8,400万人あまりが月収150ドル(約1万6,000円)未満で生活するバングラデシュ。とくに首都ダッカのスラムに住む低所得者層の子どもは一般世帯の子どもに比べ栄養不足状態の割合が大きく、発育不全や低体重であることが大きな問題になっている。

この問題に取り組んでいるのが、「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)に含まれる豊富な栄養素を活用して栄養問題を解決する」と、同国での事業を行うユーグレナ社だ。同社は2014年からバングラデシュの最貧困層の子どもたちが通う学校に、栄養価の高いユーグレナ入りクッキーを届けている。「ユーグレナGENKIプログラム」と名づけたこの活動での現在までの提供数は、累計850万食にもなる(2019年9月末時点)。

活動を続けるには、持続可能なモデルの確立が必須だ。JICAとの連携事業で同社は、バングラデシュの中間層以上にユーグレナ入り食品を販売し、そこで得られた利益で最貧困層の子どもたちにユーグレナ入りクッキーの提供を拡大するサイクルを検証する調査を実施。同時にユーグレナ入りクッキー摂取による子どもたちの栄養不足改善の効果を測るために、現地の医療調査機関を通じた血液検査や身体測定も行った。「その結果は大きな改善を示すものではないものの、胃腸内の寄生虫の影響で栄養を吸収できていない可能性があるといった新たな課題を見つけることができました」と、同社の江花智康さん。

また、「ユーグレナGENKIプログラム」対象校の子どもたちに行った衛生理解アンケートでは、正しい手洗い方法の理解度が約21パーセントと非常に低いことが判明。現在はクッキーを提供するだけでなく、学校と協力して子どもたちの手洗い方法の指導などにも力を入れている。

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血液検査は、おもに貧血の度合いを測った。

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正しい手洗いの方法を学ぶ児童。

ユーグレナ 江花智康(えばな・ともやす)さん

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江花智康さん

ユーグレナ社は、2005年の創業。藻の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)をおもに活用した食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究開発などを行っている。「ユーグレナGENKIプログラム」をとおして、ユーグレナ入り商品を日常的に食べる人を100万人まで拡大することで、栄養問題の根本的解決を目指す。