【JICA専門家のカリブ奮闘記(4)】バルバドスはポストコロナの年末年始

2023年2月6日

予定よりも記事の更新ができていないところですが、本邦は冬(本信を執筆しているのは2023年1月下旬)真っ只中かと思います。当地・バルバドスはキリスト教の国、信心深い人たちが多いこともあり、クリスマスは最も大きな行事です。本邦では「海外では正月は(クリスマスに比較して)そこまで祝わず、元旦の翌日には淡々と業務が始まる」という言説が流されているかと思いますが、当地では(そして聞くところによるとカリブの近隣国でも)少なくとも年末年始に合わせてクリスマスだけではなく年末年始にどんと休みを取る人もおり、2023年の業務がパッと始まったように見えてもギアはまだまだローギアのままです。

昨年はコロナのために行き来をやめ当地でクリスマス・新年を迎えた私もこれ見よがしに年末年始は本邦に帰省したほどです。今回の年末年始の帰省がありつつもクリスマスぎりぎりまで業務をして年始に休みを取るバッチにいたために、クリスマスの雰囲気はそれなりに味わうことができました。11月を過ぎると当地は5月ぐらいまで観光のハイシーズンを迎え、昨年度と比べても徐々に観光客が戻ってきているほか、行事も様々に復活しています。私が所属するカリブ地域の国際機関でも、コロナ禍が始まって以来の対面での国際会議を12月の初旬に実施、セントルシアからJICA関係の出張者もお招きしつつも、ホテルがなかなか取れないという悲鳴に遭遇しています。

【CDEMA主催の地域・国際会議の様子】

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一方で、本邦の報道のように諸外国がコロナ措置を完全に撤廃したかというと、社会の中ではそのようなわけでもなく、ここバルバドスでも個々判断でマスクをつけている人がいたりいなかったりといった状況です。本邦の国外ではコロナ禍以前はマスクというものをつける習慣自体が皆無でしたが、今ではマスクをつけている人の隣に付けていない人がいたり、スーパーマーケットではマスクをつけるけれども屋外の市場や日常生活ではつけていなかったりと、本当に個々の判断になってきています。さらに、件の国際会議の後、会議参加者のうちコロナ罹患者が2名出たとのことで、突如出勤停止・保健所でのPCR検査実施の指示がオフィス内を駆け巡り、ウィズコロナで動いているポストコロナなんだと実感しています。

また、復活しつつある行事もある程度形を変えて実施されているケースもあります。私はアジア(フィリピン)での赴任時にマラソンを走るのが日課になっていますが、今年になってバルバドスでの最大のマラソン大会:バルバドスマラソンフェスティバルがようやく復活しました。ただし、これまでは町中やビーチリゾートが立ち並ぶ地区を走るコースだっったのが、今年の大会は突如、泳げるビーチのない、ある意味バルバドス内の秘境地区にもなる大西洋岸にコースが変更されました。どうやらこの地区でのマラソン大会は初めての試みのようで、新たなバルバドスの魅力の発信になればと思う一方、実態としては町中の大手ホテルからの送迎に頼り切りの部分もあり、運営面も次第次第に回復していかなければいけないところを改めて実感しています。

【「バルバドス・ランニングフェスティバル2022」は東海岸の荒々しい海岸沿いを行く】

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さて、コロナ禍中であってもポストコロナであっても変わらないものは、もちろん人々の習慣です。コロナ禍を経て当地に暮らしている私にとっては、(クリスマスが最大の行事である国ではどこでも同じですが)クリスマス前のショッピングがそれにあたるかと思います。クリスマス前になるとどこのスーパーも人々であふれ、普段使うファーマーズマーケットでも駐車場はいっぱい、争うように仕入れなければ一苦労…というのは昨年度も今年度も全く変わりませんでした。さらに、この時期になるとオフィス内では総務担当者から集団購入の案内が回ってきて、クリスマス用のハムやワインの箱買い・爆買いができるようになっています。昨年度は在宅・オンラインのみでの業務であるなかでも、この案内はあったのですが、誰がどれだけのアイテムを買っているのかはわからずまま。ということで、今年度はともに仕事をする同僚がどれだけ購入しているのかを見る機会に恵まれました。今年の集団購入の対象は昨年と同様のハムとお酒類。多くのスタッフは巨大なハムを注文していました。ラム酒の生産国でありながら、いざという時のお酒には輸入ワインも選ばれるお国柄。ハムの大きさはとてもでないけれども冷凍庫には収まらず、私は今回の集団購入はチリワインの箱買い注文にとどめましたが、事務所のキッチンではスタッフ向けの巨大なハムがどんどん運び込まれていきます。これらのハムが、各家庭でどれだけの勢いでなくなっていくのかはさて知らず、こうしたサービスがあることで市井のスーパーでの爆買いが少しでも軽減される、ちょっとした職員向けの福利になっていることは言うまでもありません。

【職場に持ち込まれたハムの山と、ショッピングセンターでのハムの宣伝。】

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