リオデジャネイロ州立大学
2023年度の取り組み
五百旗頭薫教授(東京大学法学政治学研究科)によるJICAチェア特別講義を実施
9月1日~6日にかけて、JICAチェア提携校であるリオデジャネイロ州立大学(UERJ)等で、五百旗頭薫教授(東京大学法学政治学研究科)によるJICAチェア講義を実施しました。
今回の講義は、フルミネンセ連邦大学で開催された「全伯日本研究学会」の基調講演、リオデジャネイロ州立大学、サンパウロ大学での計3回実施して頂きました。講義は、聴講者の傾向に合わせてそれぞれ異なるテーマで行われ、各地各校においてJICAチェアの取組及び明治維新以降の日本の外交史に係る知見が広く共有されました。
経緯
ブラジルでは、2018年サンパウロ大学法学部国際法・比較法学科と締結したJICAチェア(フジタ・ニノミヤチェア)に続き、2022年3月にリオデジャネイロ州立大学(UERJ)、8月に国立ブラジリア大学(UnB)と新たにJICAチェア実施に係る覚書を締結しています。
UERJはJICAチェア事業で「日伯修好通商航海条約に関する両国の外交・国際関係」に係る調査研究を2023年度に実施しています。本研究のため、現地調査及び研究者間の意見交換を目的に訪伯した五百旗頭薫教授(東京大学法学政治学研究科)に、フルミネンセ連邦大学(在リオデジャネイロ)、UERJ及びサンパウロ大学法学部での特別講義実施を依頼したものです。
フルミネンセ連邦大学での講義は、同学を会場に開催されていた第27回全伯日本研究学会の基調講演として行われています。当初対面での講義を予定していましたが、フライトの大幅な遅延により対面講義が出来なかったため、急遽ハイブリッド形式(五百旗頭教授はオンラインで登壇)での実施となりました。サンパウロ大学での講義は、サンパウロ大学での取り組みサイトで紹介します。
フルミネンセ連邦大学(UFF)での講義概要
- ① 日時:2023年9月1日(金) 10:30~12:00
- ② 場所:フルミネンセ連邦大学人文科学研究所講堂
- ③ 講義テーマ:「国譲りから人譲りへ:日本の対外交流1300年」
- ④ 参加者:北原聡美 UERJ文学部教授他、学会参加者約50名
- ⑤ 内容:日本の成り立ちとして大国主命による「国譲り」の神話を参照しつつ、国譲りの国民性が劣勢の側に対して権力を譲ることを強制してきたとして、国譲りの神話が明治維新及び日本の外交史においてどのように働いたか、神話に見る日本性の哲学・考え方について講演されました。

(フルミネンセ連邦大学での講義の様子、マイアミからオンライン講義)
リオデジャネイロ州立大学(UERJ)での講義概要
- ① 日時:2023年9月4日(月) 11:00~13:00
- ② 場所:UERJ法学部貴賓講演室(YouTubeにてハイブリッド形式で実施)
- ③ 講義テーマ:「日本の政治的伝統とは? 2つの短い憲法から考える」
- ④ 参加者:エロイザ・バルボザ UERJ法学部長、橋場健 在リオデジャネイロ総領事、北原聡美 UERJ文学部教授他、UERJ及びフルミネンセ連邦大学教授・学生ら約70名(オンラインでは約100名が視聴)。
- ⑤ 内容:明治維新以降の日本の憲法の成り立ちと運用の歴史について、その時代の日本政府が欧米各国の憲法と三権バランスを組み合わせたため、常に矛盾を抱えることとなった点に照らし(明治~第二次世界大戦はドイツと英国、第二次大戦以降は英国と米国)、戦後の安定した政治運営のための与党事前審査制や鉄の三角形等、日本の政治に見られる伝統について講演されました。
- ⑥ 言語:日葡逐語通訳
- ⑦ その他:講義の最後に、五百旗頭教授からUERJに対し、五百旗頭教授が監修した「日本の歴史」漫画が寄贈されました。
アーカイブ先:JP_COPY_UPDATE_ FW23_HERO_16x9_15_V2_FAR_APP.mp4 (youtube.com) Qual é a Tradição Política do Japão? Uma análise a partir das duas Constituições Sintéticas. - YouTube

(リオデジャネイロ州立大学での講義の様子)