2年間の経験を活かして

【写真】藤川 理恵(徳島県)平成27年度3次隊/モンゴル国/看護師
藤川 理恵(徳島県)

患者中心の看護の定着に取り組む

ダルハン県立総合病院にてセミナー、実技試験実施

 私は、青年海外協力隊で2016年1月から2018年1月までの2年間、モンゴルで看護師として活動していました。私の任地はダルハンオール県という首都ウランバートルから220㎞北上した場所にある人口約10万人の製鉄所や皮革工場のある工業都市で、活動先はその県で唯一の国公立病院であるダルハンオール県総合病院という県立病院でした。モンゴルは1990年まで社会主義国であったため、医療現場でも社会主義の名残を感じる場面があります。医療技術向上への支援というJICAからの要請内容はありましたが、私はそこにモンゴルの医療で一番の問題を感じ、患者中心の看護や、看護師の仕事とはという基本的なことに重点を置いてモンゴル人と一緒に考えながら改善できるように取り組みました。患者さんや家族へのアンケートをとりながら評価を行い、指導前と比較して看護師の対応は改善傾向ではありましたが、国民性も文化も異なる上に2年という短期間で、何かを定着させるという難しさも痛感しました。それと同時に、自分で仕事を探し、その現場に必要なことを考えて行動する事の楽しさを実感しました。

モンゴルへの想いを胸に、次の道への準備期間

 帰国後、モンゴルのことや、モンゴルでの活動が忘れられず、この2年間で感じたことや得た知識を活かした仕事がしたい、できれば海外で、もっといえばモンゴルでという思いがありました。帰国後すぐには、どこで何をしたいのか何をするべきなのか具体的にわからず、考える期間にしようと思い、視野を拡げる為に東京で派遣看護師として1年弱働きました。その間に、国際関係のセミナーへ参加したり、国内外問わず国際医療に携わっている方々とお会いさせて頂く機会を作っていきました。

より高い次元で、JICAプロジェクトの専門家としてモンゴルの医療に関わる

日本の無償資金協力で建設された「日本モンゴル教育病院」

病院を運営するシミュレーションの様子。開院に向けて、病院設備が最大限に機能するような病院運営を支援します。

郊外研修を実施した際、病院幹部の方とモンゴルの伝統的な家であるゲルの中で食事会を開催。

 そして、現在、徳島大学大学院医歯薬学研究部医療教育学分野の特任助教として、JICAが援助し徳島大学が技術協力をしているウランバートルで近々開院予定の日本モンゴル大学病院に関わらせて頂いています。職場も2019年6月からはモンゴルが拠点となりました。モンゴル愛や、2年間で得た知識や経験を役立てたいという思いが帰国後ずっとあった私としては光栄で、現在仕事が始まりまだ間もないですが、やりたかった仕事ができることに喜びを感じており、幸せだなと思っています。このような場を与えて頂き、私の選択肢や視野を拡げて下さった周りの方々に感謝しています。
 必要なことを伝えながら一緒に考え、日本式の医療をモンゴル人が納得し実践できるということに重きを置いて、コーディネート・指導していきたいと思っています。困難なことや躓くことも多々あると思いますが、色々な方々と協力させて頂きプロジェクトが両国にとってより良いものとなるように頑張りたいと思います。