モンゴルでのむし歯予防の啓発と普及に取り組む

【写真】西野 瑞穗(徳島県)徳島大学名誉教授・モンゴル国立医科大学名誉教授、JICA徳島県協力隊を育てる会理事、徳島モンゴル医療交流協会理事長
西野 瑞穗(徳島県)

モンゴルの歯科医師が石井町乳幼児歯科健診を見学

高齢者の口腔保健について説明を聞く(徳島歯科学院専門学校)

徳島歯科学院専門学校にて、歯科技工士・歯科衛生士の教育課程を学びました

徳島歯科学院専門学校前にて。プロジェクトに関わる歯科医師・歯科衛生士たちと。

保健大臣による乳幼児健診視察

モンゴル人チームによる歯科健診

モンゴル国3歳児歯科健康診査開始式典

モンゴルでは伝統的遊牧生活から都市化による定住の進展と食生活の西洋化により、糖分を含む飲食物の摂取頻度が増加したことから、子どものむし歯が増加しています。保護者の間では乳歯は永久歯に生え変わるため重要でないと考える人も多く、歯科医師も乳幼児歯科健康診査(健診)のノウハウや関連知識を持ち合わせていないため、乳幼児歯科健診の仕組みづくりは喫緊の課題であるといえます。

この課題に対応すべく、徳島モンゴル医療交流協会は、JICA草の根技術協力事業として「モンゴル国乳幼児のむし歯予防」を提案、2017年から2年間のプロジェクトを実施しています。

2017年10月と2018年7月には、モンゴルから歯科医師たちが徳島を訪れ、石井町が実施している乳幼児歯科健診や徳島歯科学院専門学校などを視察しました。日本で学んだことを元に、現地ウランバートルでモンゴル人歯科医師と合同で乳幼児歯科健診を実施。調査・健診・教育をセットで行い、「歯みがきカレンダー」を紹介するなどし保護者からも好評を得ています。この様子をモンゴル国保健大臣・歯科医師会会長が視察し、その重要性を認識したことから2019年4月からモンゴル国全域の3歳児歯科健康診査の義務化が図られました。モンゴルでのむし歯罹患者率が減少するよう、むし歯予防の啓発と普及に取り組んでいきます。

(注)草の根技術協力業とは、JICAと連携し、団体独自のアイデアを元に、団体の技術移転による途上国住民の生活改善事を実施する事業です。
(「徳島人」2019年9月号に掲載)