所長あいさつ

シエラレオネは、アフリカの中でも西のはずれに位置します。北海道とほぼ同じ面積に愛知県とほぼ同じ800万人近い人口を抱えています。国の形は「丸に近い」とか、「ダイヤモンドに似ている」とも言われます。ダイヤといえば2006年に公開されたブラッド・ダイヤモンド(デカプリオ主演)はシエラレオネで起こった内戦を舞台にした映画です。内戦は1991年から10年にわたって続き、政府軍、反政府軍双方が幼い少年たちを戦闘員に仕立てて戦線に送り込んだという残酷で悲惨なものでした。また、シエラレオネはその劣悪な医療事情や環境の下「世界で一番寿命の短い国」という不名誉な呼び名まで付きました。さらに2014年にはエボラが大流行し、終息まで2年近くかかり経済や社会に大きな打撃を受けました。

このようにネガティブな要素が強いシエラレオネですが、それでも人々はたくましく、かついきいきと暮らしています。また、美しいビーチ、豊かなシーフード、チンパンジーをはじめ野生動物など、観光資源を有効に活用した集客やビジネス起業も今後の国の飛躍につながることが期待されています。

2005年にJICAのフィールドオフィスが設立され、基本的なインフラが整わず、また行政が十分に機能しない環境下において、人づくりやコミュニティの充実を目標に、教育、保健医療、地方給水、農村開発、エネルギー分野の協力を実施してきました。

2019年8月には長年の懸案だった技術協力協定が締結され、特権・免除の付与も約束されたことにより10月1日より支所に至りました。これまでの先人の苦労や実績を踏まえ、保健医療、農業、ガバナンス、エネルギー分野において協力を継続する方針です。今後もシエラレオネ政府はもちろんいろいろな開発パートナーからも期待されることでしょう。所員一体となって、その期待と重責を背負って事業に当たる所存です。

シエラレオネ支所
佐藤 仁